Indiebase編集部です。
左側には、炎に包まれ、折り重なるように倒れた無数の人々。
一方、右側には虹が架かり、花咲く楽園で人々が歓喜しています。

ベルギーの画家レオン・フレデリックが描いた『万有は死に帰す、されど神の愛は万有をして蘇らしめん』(1893〜1918年)。
横幅約11メートルの巨大な絵画に、人類の死と復活が描かれています。
左は地獄、右は天国
この作品は7枚の絵から構成されています。
左側の3枚には、炎と死体に覆われた恐ろしい世界。

人々は苦しみ、地面には無数の遺体が積み重なっています。
しかし、中央の画面では雰囲気が一変します。

人々が再び目覚め、天へ向かって手を伸ばしているのです。
そして右側の3枚には、緑豊かな楽園が広がります。

最後に現れるのは、虹の下で人々を祝福するキリスト。
すべての命は死を迎える。しかし、神の愛によって再び蘇る。
7枚を左から右へ見ることで、人類の運命をたどる壮大な物語になっています。
制作に25年。画家を襲った悲劇
フレデリックが制作を始めたのは1893年。
完成までには、実に25年もの歳月がかかりました。
その間、ヨーロッパでは第一次世界大戦が勃発します。
さらに画家は、愛する娘ガブリエルを亡くしました。
作品には、亡き娘に捧げる言葉も書き込まれています。
人類の死と復活を描いていた画家自身が、愛する家族との死別を経験したのです。
右側に広がる幸福な楽園は、亡き娘との再会を願う祈りにも見えてきます。
この絵に合わせて、美術館の部屋が造られた

この巨大な作品を所蔵しているのは、岡山県倉敷市の大原美術館です。
1923年、実業家の大原孫三郎が、画家の児島虎次郎を通じて購入しました。
驚くべきことに、大原美術館の本館は、この作品を展示することを考慮して設計されました。
横幅約11メートルの絵を収めるため、展示室の幅が決められたのです。
つまり、一つの絵画が美術館の建築そのものに影響を与えたことになります。
現在も本館2階に展示され、その壮大な世界を間近で見ることができます。
人間は必ず死ぬ。それでも、愛は死を超えられるのか。
フレデリックが25年を費やした作品は、今もその問いを投げかけています。
(文:Indiebase編集部)
