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ベローズ「シャーキーのスタッグ」とは?違法ボクシングを描いた名画を解説

Indiebase編集部です。

今日紹介するのは、アメリカの画家ジョージ・ベローズが1909年に描いた「シャーキーのスタッグ」。リング上で組み合う2人のボクサーと、それを取り囲む観客の熱気を描いた作品です。

顔がにじんで見えるのは、あえての演出

ベローズはこの絵で、2人のボクサーの頭部と顔をあえてぼかすように描いています。荒く素早い筆致によって、殴り合う動きのスピード感がそのまま画面に焼き付いたような効果を生んでいます。舞台となったシャーキーズ・アスレチック・クラブは、ベローズのアトリエの向かいにあった実在の店で、彼はここに足繁く通っていたそうです。都市の泥臭い日常風景を描くことにこだわった「アッシュキャン・スクール」と呼ばれる画家グループの一員として、ベローズはこうした現場をたびたび題材にしています。

ジョージ・ベローズ

ボクシングは、当時ニューヨークで違法だった

タイトルの「スタッグ」には理由があります。当時のニューヨーク州では公開のボクシング興行が法律で禁止されていました。そこでクラブ側は、試合のたびに観客や外部の選手を一時的に「会員」として登録し、非公開の「会員限定イベント」を装うことで法の網をくぐり抜けていました。この時だけ会員になる部外者の選手が「スタッグ」と呼ばれていたのです。禁酒法時代のもぐり酒場と同じ理屈です。

「シャーキーのスタッグ」

それでも支持者はいた

ボクシングは野蛮な見世物として批判されることも多い一方で、男らしさの象徴として擁護する声も根強くありました。当時の大統領セオドア・ルーズベルトも、ボクシングを健全な男らしさの表れとして肯定していた一人です。違法でありながら、社会の上層にも支持者がいる。そんな微妙な立ち位置のスポーツでした。

続編は、人種問題に踏み込んだ

ベローズは同じ年の10月、この絵の延長線上にある「Both Members of This Club(どちらもこのクラブの会員です)」という作品も手がけています。こちらは白人選手と黒人選手の対戦を描いたもので、黒人選手が優勢に見える構図になっていました。前年の1908年に黒人初のヘビー級王者ジャック・ジョンソンが誕生していた時期で、人種間の緊張が高まっていた当時としては、かなり踏み込んだ主題選びだったといえます。

「Both Members of This Club(どちらもこのクラブの会員です)」

「シャーキーのスタッグ」は現在、クリーブランド美術館が所蔵しています。

(文:Indiebase編集部)

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