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今日紹介するのは、フランスの画家エヴァリスト・ヴィタル・リュミネが1880年に描いた「クロヴィス2世の息子たち」。豪華な寝台がそのまま小舟になったような筏に、2人の若者が横たわり、川を流されていく場面です。穏やかな水面とは対照的に、2人の顔には生気がありません。
罰を下したのは、母だった
描かれているのは、7世紀のフランク王国に伝わる伝説です。クロヴィス2世が遠征で国を空けている間に、2人の息子が父に対して反乱を起こします。鎮圧後、罰を下したのは母である王妃バティルドでした。彼女は息子たちの足の腱を切らせ、歩けなくなった2人を筏に乗せてセーヌ川に流したと伝えられています。絵の中で2人の脚に巻かれた白い包帯は、この刑罰の跡です。筏の先端に取り付けられた黄金の聖遺物箱と豪華な布が、彼らが王族であることを物語っています。
救いは、川下で待っていた
伝説には続きがあります。流された筏はセーヌ川を下り、ジュミエージュ修道院の近くに漂着。修道士たちに保護された2人はそのまま修道院に入り、のちに敬虔な聖職者として知られるようになったといいます。この伝説自体は12世紀頃に作られたもので、史実とは考えられていませんが、「ジュミエージュの萎えた者たち」という題でフランスでは広く知られてきました。リュミネの絵でも、遠景に修道院らしき建物が小さく描かれており、2人を待つ救済がさりげなく示されています。

サロンで話題をさらい、オーストラリアへ
この絵は1880年のパリ・サロンに出品されて大きな話題を呼び、その後まもなくオーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州立美術館が購入しました。同館では今も屈指の人気作として展示されています。子供の頃にこの絵を見てひどく動揺した、という地元の芸術家の回想が残っているほどで、140年以上経った今も見る者に強い印象を残し続けています。リュミネはこの成功に続く代表作を残せず、この絵が生涯最大のヒット作になりました。なお、ほぼ同じ構図の別バージョンをリュミネ自身が描いており、そちらはフランスのルーアン美術館が所蔵しています。
(文:Indiebase編集部)
