CULTURE

バルドゥング『死と乙女』とは?若い女性の髪をつかむ死神が告げる、残酷な運命

Indiebase編集部です。

若い女性の背後に、骸骨のように痩せ細った死神が立っています。死神は女性の長い髪をつかみ、逃がさないように引き寄せています。女性は涙を流し、何かを訴えるように口を開いています。

ドイツの画家ハンス・バルドゥング・グリーンが1517年に描いた『死と乙女』。若さや美しさも、死から逃れることはできないという、残酷な現実を描いた作品です。

「ここでお前は死ななければならない」

この絵の上部には、古いドイツ語で「HIE MVST DV YN」と書かれています。

現代のドイツ語では「Hier musst du hin」と読める言葉で、「お前はここへ来なければならない」という意味です。死神が女性に向かって、逃れられない運命を告げているように見えます。

女性は死神の腕を両手でつかんでいます。しかし、死神は彼女の髪をしっかり握り、離そうとしません。

死神の体は骨と皮だけになり、女性の白く若々しい肌とは対照的です。2人の姿は、生と死、若さと老いを鮮烈に対比させています。

美しい女性と死神を繰り返し描いた画家

バルドゥングは1484〜1485年頃に生まれ、ドイツ・ルネサンス期に活躍した画家です。アルブレヒト・デューラーの工房で学んだことでも知られています。

彼は生涯を通じて、若い女性と死神を組み合わせた作品を繰り返し描きました。

当時のヨーロッパでは、疫病や戦争によって死が身近な存在でした。「死を忘れるな」という意味の「メメント・モリ」は、美術でも重要な主題となっていました。

バルドゥングの『死と乙女』も、その伝統に連なる作品です。ただし、単に死を象徴する骸骨を描くのではなく、女性の髪をつかむという生々しい動作によって、死の恐ろしさを表現しています。

BBCの美術番組でも紹介された『死と乙女』

この作品は、BBCの美術番組『100 Great Paintings』でも取り上げられました。

若い女性の白い肌と、骸骨のように痩せ細った死神の褐色の体。生と死を対比させた強烈な構図は、500年以上を経た現在も見る者に衝撃を与えます。

作品は現在、スイスのバーゼル市立美術館に所蔵されています。

(文:Indiebase編集部)


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