Indiebase編集部です。
白いドレスを着た女性が、幼い男の子と庭の芝生に座っています。左奥では男性が花の世話をし、手前にはニワトリの親子が歩いています。
エドゥアール・マネが描いた『アルジャントゥイユの庭のモネ一家』(1874年、メトロポリタン美術館所蔵)。
実は、この絵に登場する男性は、あのクロード・モネです。
女性は妻のカミーユ、男の子は息子のジャン。マネが友人モネの自宅を訪れ、その家族を描いた作品なのです。
庭仕事をするモネと、くつろぐ家族
1874年夏、マネはパリ郊外のジュヌヴィリエに滞在していました。
セーヌ川の対岸にあるアルジャントゥイユには、モネ一家が暮らしており、二人は頻繁に行き来していました。
マネが描いたのは、庭で過ごす一家の何気ない時間です。
カミーユは白いドレスを広げて座り、ジャンは母親にもたれかかっています。
一方、モネは花壇にかがみ込み、庭仕事に夢中です。
手前の雄鶏、雌鶏、ひよこも、家族の姿と重なるように配置されています。
そこへルノワールがやって来た
この絵には、さらに面白い制作エピソードがあります。
マネが庭で絵を描いていると、友人のピエール=オーギュスト・ルノワールが訪ねてきました。
ルノワールも同じ親子を描きたくなり、モネから絵の具や筆、キャンバスを借りて、マネの隣で制作を始めます。
こうして、同じ日に、同じ場所で、二人の画家がカミーユとジャンを描くことになりました。
ルノワールの作品『モネ夫人と息子』も現存しており、現在はワシントンのナショナル・ギャラリーに所蔵されています。

さらに、その間にモネは、制作中のマネを描いていました。こちらの作品は現在、所在が分かっていません。
マネと印象派の画家たちの交流

1874年は、モネやルノワールたちが第1回印象派展を開催した年でもあります。
マネ自身は印象派展に参加しませんでしたが、若い画家たちとの交流を通じて、屋外の光や明るい色彩を積極的に取り入れていきました。
『アルジャントゥイユの庭のモネ一家』にも、素早い筆遣いや鮮やかな緑色が見られます。
庭に座るカミーユとジャン、花を手入れするモネ。そして、その姿を描くマネとルノワール。
印象派の歴史に名を残す三人の画家が、一つの庭で絵を描いていた夏の午後でした。
(文:Indiebase編集部)
