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ジェローム「スフィンクスの前のボナパルト」とは?ナポレオンがエジプトで見つめた古代文明の謎

Indiebase編集部です。

広大な砂漠にそびえる巨大なスフィンクス。その前に、一頭の馬に乗った小さな人物が立っています。

彼が見つめているのは、数千年もの歴史を持つ古代エジプトの遺跡。馬上の人物は、後にフランス皇帝となるナポレオン・ボナパルトです。

フランスの画家ジャン=レオン・ジェロームが描いた『スフィンクスの前のボナパルト』(1867〜1868年頃、ハースト・キャッスル所蔵)は、ナポレオンのエジプト遠征を題材にした歴史画です。

巨大な古代文明の象徴と、ヨーロッパの歴史を変えることになる若き軍人が、静かに向き合っています。

ナポレオンが挑んだエジプト遠征

1798年、29歳になる直前のナポレオンは、フランス軍を率いてエジプトへ遠征しました。

目的の一つは、イギリスとインドを結ぶ交易路を脅かし、フランスの勢力を拡大することでした。

ナポレオンは同年7月、カイロ近郊でマムルーク軍と戦い、「ピラミッドの戦い」で勝利を収めます。

この遠征には兵士だけでなく、多数の学者や技術者も同行していました。

彼らによる古代遺跡や自然の調査は、後のエジプト学の発展にもつながります。

ジェロームは、こうした遠征の中でナポレオンがスフィンクスと対峙する姿を描きました。

なぜ題名は「オイディプス」だったのか?

この作品には『オイディプス』という別の題名があります。

ギリシャ神話の英雄オイディプスは、人々を苦しめていたスフィンクスの謎を解き、怪物を退治した人物です。

ジェロームは、古代エジプトの巨大なスフィンクスと向き合うナポレオンを、神話の英雄になぞらえました。

ただし、ギザのスフィンクスと、ギリシャ神話で謎を出すスフィンクスは異なる存在です。

この作品は1886年のパリのサロンに『オイディプス』の題名で出品されました。

巨大な遺跡と小さな英雄

この作品で印象的なのは、ナポレオンが非常に小さく描かれていることです。

巨大なスフィンクスは砂漠に堂々とそびえ、ナポレオンはその前に静かに立っています。

遠方にはフランス軍の隊列が見えますが、古代遺跡の大きさに比べればわずかな存在です。

ジェロームは、ピラミッドをあえて描かず、スフィンクスとナポレオンの対比を際立たせました。

数千年の歴史を持つ古代文明と、これから歴史を動かそうとする若き将軍。二つの異なる時代が、砂漠の中で向き合っています。

(文:Indiebase編集部)


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