CULTURE

マーシュ『郵便物の仕分け』とは?1930年代の郵便局を支えた巨大な機械と労働者たち

Indiebase編集部です。

巨大な機械の下で、男たちが重い郵便袋を運んでいます。

肩に袋を担ぐ人、両手で引っ張る人、次々と運ばれてくる荷物を受け取る人。

頭上には複雑なベルトコンベヤーや金属製の設備が張り巡らされ、まるで巨大な工場のようです。

アメリカの画家レジナルド・マーシュが描いた『郵便物の仕分け』(1936年、ワシントンD.C.のウィリアム・ジェファーソン・クリントン連邦庁舎所蔵)。

これは、約90年前のアメリカの郵便局を描いた作品です。

郵便局は巨大な物流施設だった

1930年代のアメリカでは、鉄道や船舶を利用した郵便輸送が重要な役割を担っていました。

ニューヨークは国内外の郵便物が集まる物流の中心地でもありました。

マーシュは制作にあたり、ニューヨークの郵便施設やペンシルベニア駅地下の鉄道郵便施設を取材しています。

実際に働く人々を観察し、機械の構造や郵便袋の運搬作業をスケッチしました。

描かれているのは、想像上の工場ではありません。

当時の郵便物流を支えていた、実際の労働現場です。

巨大な機械よりも目立つ労働者たち

緑色の機械が複雑に入り組む一方、手前の労働者たちは鮮やかな服を着ています。

特に目を引くのは、郵便袋を担ぎ上げる男たちの筋肉です。

腕や背中の力強さが強調され、重労働の様子が伝わってきます。

機械化が進んでも、人間の力が欠かせなかったことがわかります。

マーシュは都市の群衆や労働者を好んで描いた画家でした。

この作品でも、機械の性能だけでなく、そこで働く人々の存在を強く印象づけています。

大恐慌時代に制作された公共壁画

『郵便物の仕分け』が制作された1936年は、アメリカが世界恐慌の影響から立ち直ろうとしていた時代です。

当時、政府は公共建築に美術作品を設置する事業を進めていました。

この作品も、財務省の美術事業を通じて制作された壁画の一つです。

マーシュはフレスコ画の技法を用い、郵便事業を支える人々の働く姿を描きました。

機械化が進む1930年代のアメリカ。その巨大な物流システムを動かしていたのは、郵便袋を担ぎ、運び続ける労働者たちでした。

(文:Indiebase編集部)

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