CULTURE

ブレイク『巨大な赤い龍と太陽を着た女』とは?悪魔の姿を描いた異形の名画と『レッド・ドラゴン』との関係

Indiebase編集部です。

巨大な翼を広げ、両脚を踏ん張る異形の怪物。筋肉質な人間の体を持ちながら、背中にはコウモリのような翼が生え、長い尾が伸びています。

その足元には、金色の髪をした女性が横たわっています。

イギリスの画家であり詩人でもあったウィリアム・ブレイクが描いた『巨大な赤い龍と太陽を着た女』(1805年頃、アメリカ・ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリー所蔵)。聖書の『ヨハネの黙示録』に登場する、悪魔と女性の対決を描いた作品です。

この不気味な怪物は、一体何者なのでしょうか。

巨大な龍の正体は、聖書に登場する「サタン」

この作品の題材となったのは、新約聖書『ヨハネの黙示録』第12章です。

そこには、太陽をまとい、月を足元に置き、12の星の冠をかぶった女性が登場します。

女性は子どもを産もうとしていますが、その前に巨大な赤い龍が現れます。

龍は七つの頭と十本の角を持ち、生まれてくる子どもを食い尽くそうと待ち構えていました。

この龍の正体は、聖書の中で「悪魔」「サタン」と呼ばれる存在です。

やがて女性が産んだ男の子は神のもとへ引き上げられ、女性自身も荒野へ逃れます。

ブレイクが描いたのは、龍が女性を脅かす、緊迫した場面です。

ただし、聖書に登場する龍は七つの頭を持つ怪物ですが、ブレイクは筋肉質な人間の肉体と巨大な翼を組み合わせ、独自の恐ろしい姿を生み出しました。

映画『レッド・ドラゴン』にも登場した名画

この作品は、美術史だけでなく、現代の映画や小説とも深い関係があります。

トマス・ハリスが1981年に発表した小説『レッド・ドラゴン』には、ブレイクの「巨大な赤い龍」に強く執着する連続殺人犯フランシス・ダラハイドが登場します。

彼は自分自身を龍と同一視し、背中には巨大な龍のタトゥーを入れています。

2002年公開の映画『レッド・ドラゴン』でも、この絵画は物語の重要なモチーフとなりました。

映画『レッド・ドラゴン』(2002年)© 2002 Universal Studios. All Rights Reserved.

なお、ブレイクは「巨大な赤い龍」を題材とする複数の作品を制作しており、映画や小説との関連で紹介される絵には別の構図の作品もあります。

『巨大な赤い龍と太陽の衣をまとった女』

巨大な赤い龍と海から上がってきた獣

『The number of the beast is 666』

ブレイクが描いた、善と悪が衝突する世界

ウィリアム・ブレイクは、18世紀末から19世紀初頭に活躍したイギリスの画家・詩人です。

彼は聖書や神話、独自の幻想世界を題材に、人間の想像力や精神の世界を表現しました。

この絵で印象的なのは、龍の圧倒的な肉体です。

『巨大な赤い龍と太陽を着た女』

巨大な翼を広げた龍は、まるで画面全体を支配するかのように立ちはだかっています。一方、足元の女性は光をまとい、両腕を上げて身を守ろうとしています。

恐ろしい怪物と、光に包まれた女性。その対比によって、善と悪の対立が強烈に表現されています。

ブレイクが描いた龍は、単なる空想上の怪物ではありません。人間を脅かす悪の力そのものを、圧倒的な肉体として可視化した存在なのです。

(文:Indiebase編集部)


こちらの記事もおすすめ

RANKING
DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
RECOMMEND

関連記事

PAGE TOP