映画レーベル「NOTHING NEW」の実写長編映画『洗浄』が、第59回シッチェス・カタロニア国際映画祭のパノラマ部門に正式出品され、現地時間10月14日(水)にワールドプレミア上映を迎えた。脚本・編集・監督を務めた宮原拓也さんが現地に登壇し、自身初の長編作品を世界の観客に届けた。公開は、2027年春に全国で予定されている。
『洗浄』は、NOTHING NEWの長編第3弾。第1弾の『チルド』はベルリン国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞し、第2弾の『我々は宇宙人』は、カンヌ国際映画祭の監督週間とアヌシー国際アニメーション映画祭2026に選ばれた。
物語は、湖畔のリゾートに招かれたカップルが主人公。豪華なおもてなしと、宿に長く伝わる「水」を軸にしたサービスでリラックスしていた2人だが、滞在するうちに、恋人が変わっていく。おもてなしの裏に隠された「水」の正体に気づき始めて、心安らぐはずのバカンスが、逃れられない恐怖へ変わっていく。「史上最悪のおもてなしバカンス映画」と銘打たれた、奇妙で不穏なサスペンス・ホラーだ。
主演は、入江甚儀さんと田中真琴さん。脚本協力として、TRPGシナリオ『カタシロ』で知られるディズムさんが、映画の脚本に初めて参加した。宮原監督は、「オールナイトニッポン55周年記念公演『あの夜を覚えてる』」でACC TOKYO CREATIVITY AWARDSのグランプリを受賞し、2024年には短編映画版の『洗浄』が、クレルモン=フェラン国際短編映画祭に、日本人として唯一ノミネートされている。
上映の会場は、シッチェスで最も歴史ある映画館とされる「Cinema Prado」。上映前から、劇場の入り口には、世界各国のジャンル映画ファンや映画関係者が長い列を作った。宮原監督は、サインを求められる場面もあった。

登壇した宮原監督は、現地のカタルーニャ語と英語で挨拶した。挨拶の全文(日本語訳)は、次のとおり。
「皆さん、こんばんは!『洗浄』の監督を務めました、宮原拓也です。
まずは、私たちとこの作品を招待してくださったシッチェス映画祭に感謝します。初めての長編映画を、このような素晴らしい映画祭で上映できることを、とても光栄に思っています。
この映画は、ひとつのシンプルな疑問から生まれました。私たちにとって、最も恐ろしいものは何だろう?そして考えた末に、もしかすると、それは「水」なんじゃないかと思ったんです。
私たちは誰もが、生きるために水を必要としています。でも、それは裏を返せば、私たちの命は水に支配されていて、そこから決して逃れることができない、ということでもあるんじゃないかと思いました。そこで私は、このアイデアに、現代の日本の若者たちが社会に対して抱いている無力感や、現実から逃げ出そうとする傾向を重ね合わせて、現代における、ある種の神話のようなものを作ろうとしました。
改めて、シッチェス映画祭に感謝します。そして、この物語を映画として形にし、今夜こうしてここに立つことを実現してくれたキャスト、スタッフの皆さんにも感謝したいと思います。そして何より、今日『洗浄』を観に来てくださった皆さん、本当にありがとうございます。楽しんでいただけたら嬉しいです!映画を楽しんでください!ありがとうございました!」
上映が進むにつれて、会場には息をのむような緊張感が漂い、あるシーンでは、観客から大きな拍手が起こった。上映後も温かな拍手に包まれ、劇場の外では、多くの観客が監督を取り囲んでサインを求めた。宮原監督は、「ファンタスティック映画祭ならではの熱気と温かい反応に勇気づけられました」と喜びを語っている。
■作品情報
タイトル:『洗浄』(英題:WASH AWAY)
出演:入江甚儀、田中真琴
脚本・編集・監督:宮原拓也
脚本協力:ディズム
制作プロダクション:ACROBAT FILM、ディープサイド
企画・製作・配給:NOTHING NEW
上映時間:77分
公開:2027年春 全国公開予定
■ワールドプレミア上映
映画祭:第59回シッチェス・カタロニア国際映画祭(2026年10月8日〜18日)
日時:2026年10月14日(水)19:00〜(現地時間)
会場:Cinema Prado
部門:パノラマ部門
登壇:宮原拓也監督
公式サイト
https://nothingnew.ltd/ja/films/senjo-2027
© NOTHING NEW, PARADOX
