Indiebase編集部です。
豪華な室内に集まった、数えきれないほどの猫たち。
白猫、黒猫、茶トラ、長毛の猫。床に寝そべる猫もいれば、家具の上からこちらを見つめる猫もいます。その数は、なんと42匹。
オーストリア出身の画家カール・カーラーが描いた『私の妻の恋人たち』(1891年、個人蔵)は、猫だけを主役にした巨大な絵画です。
原題は『My Wife’s Lovers』。一風変わった題名には、猫を溺愛した大富豪の夫婦が関係しています。
42匹の猫を描かせた大富豪
この作品を依頼したのは、アメリカ・サンフランシスコの富豪ケイト・バーズオール・ジョンソンです。
彼女は熱心な愛猫家で、ペルシャ猫やアンゴラ猫などを飼育していました。
1891年、ケイトは画家カーラーに愛猫たちの肖像画を依頼します。
カーラーはそれまで猫を描いた経験がほとんどありませんでしたが、猫たちを観察し、それぞれの姿や表情を描き分けました。
中央に堂々と座る猫の名前は「スルタン」。ケイトがパリで3000ドルを支払って購入したと伝えられる、お気に入りの猫でした。
なお、ケイトが350匹もの猫を飼っていたという逸話もありますが、後年の調査では疑問が示されています。
「私の妻の恋人たち」という奇妙な題名
『私の妻の恋人たち』という題名は、ケイトの夫が付けたと伝えられています。
妻が夫以上に猫たちへ愛情を注いでいたことを、ユーモラスに表現したものです。
完成した絵画は、縦約178センチ、横約258センチという大作でした。
1893年のシカゴ万国博覧会にも出品され、多くの人々の注目を集めました。
82万6000ドルで落札された猫の絵

この作品はその後、所有者を変えながら長く受け継がれていきました。
1906年のサンフランシスコ地震でも焼失を免れ、20世紀にはアメリカ各地で展示されています。
そして2015年、ニューヨークのサザビーズで競売にかけられ、82万6000ドルで落札されました。
当初の予想落札価格は20万〜30万ドル。最終的には、その上限を大きく超える金額となりました。
42匹の猫たちは、それぞれ異なる姿勢や表情で描かれています。中央で堂々と座るスルタンをはじめ、一匹ずつ眺めていると、猫たちの個性が見えてきます。
(文:Indiebase編集部)
