Indiebase編集部です。
夕暮れの庭で、4人の少女が落ち葉を集めています。
手前には枯れ葉が山のように積み上げられ、少女たちはどこか物悲しい表情を浮かべています。背後には夕日が沈み、空は黄金色に染まっています。
イギリスの画家ジョン・エヴァレット・ミレイが描いた『秋の落ち葉』(1856年、マンチェスター美術館所蔵)は、秋の何気ない光景を描いた作品です。
しかし、この絵には、若さや美しさもいつか失われるという、死への思いが込められています。
落ち葉を集める4人の少女
この作品は、1855年秋、スコットランドのパースで制作が始まりました。
登場する4人のうち、左側の二人は、後にミレイの妻となるエフィー・グレイの妹であるソフィーとアリスです。
ほかの二人も地元の少女たちがモデルとなりました。
少女たちは落ち葉を集めていますが、遊んでいるようには見えません。
左側の二人は静かにこちらを見つめ、右側の少女はうつむいています。
一番幼い少女が手にしているのは、赤いリンゴと小さな花束です。
落ち葉と夕暮れが象徴する死

秋は、木々の葉が枯れ落ち、自然が冬へと向かう季節です。
この作品では、積み上げられた落ち葉や沈みゆく夕日が、時間の経過と命のはかなさを象徴しています。
若く美しい少女たちも、いつか年老いて命を終える。その避けられない運命が、秋の風景に重ねられているのです。
また、少女が持つリンゴには、旧約聖書の原罪を連想させるという解釈もあります。
ミレイ自身も、この作品を単なる日常風景ではなく、深い宗教的な思索を呼び起こす絵として構想していました。
物語のない絵画への挑戦
ミレイは、ラファエル前派を代表する画家の一人です。
初期には文学や宗教を題材に、細部まで描き込んだ作品を制作していました。
しかし『秋の落ち葉』では、明確な物語を描くのではなく、風景や人物の表情によって感情を伝えようとしました。
1856年のロイヤル・アカデミー展に出品され、批評家ジョン・ラスキンからも夕暮れの表現を高く評価されました。
少女たちの足元には枯れ葉が積み上がり、背後では一日が終わろうとしています。ミレイは、何気ない秋の夕暮れに、若さと命が失われていく時間の流れを描きました。