CULTURE

ティソ「日本の品々を眺める娘たち」とは?19世紀パリを熱狂させた日本ブームとジャポニスム

Indiebase編集部です。

豪華な赤いドレスを着た女性が、身をかがめて日本の品々を眺めています。

その隣には白いドレスを着た若い女性。二人の前には色鮮やかな日本の屏風が置かれ、周囲には日本人形や漆器、装飾品などが並んでいます。

フランスの画家ジェームズ・ティソが描いた『日本の品々を眺める娘たち』(1869年、シンシナティ美術館所蔵)は、19世紀ヨーロッパで巻き起こった日本美術ブームを伝える作品です。

当時のパリでは、日本から届いた美術品や工芸品が大きな注目を集めていました。

パリで巻き起こった日本ブーム

1850年代に日本が開国すると、浮世絵や陶磁器、漆器、着物などがヨーロッパへ輸出されるようになりました。

特に1867年のパリ万国博覧会では、日本が初めて公式に参加し、展示された美術工芸品が大きな関心を集めます。

こうした日本文化への熱狂は「ジャポニスム」と呼ばれました。

裕福な家庭では日本の美術品を飾ることが流行し、芸術家たちも浮世絵の大胆な構図や色彩に影響を受けるようになります。

ティソが描いた二人の女性も、そうした流行の中で日本の品々を楽しんでいるのです。

日本美術に魅了されたジェームズ・ティソ

ジェームズ・ティソは、19世紀のフランスとイギリスで活躍した画家です。

当時の上流階級の女性たちを、華やかな衣装や豪華な室内装飾とともに描いたことで知られています。

ティソ自身も日本美術に強い関心を持ち、日本の品々を題材にした作品を繰り返し制作しました。

1864年には、西洋人女性に着物を着せた『日本風の入浴』も描いています。

『日本の品々を眺める娘たち』では、日本の美術品を鑑賞する女性たちの姿を通して、パリの上流階級に広がっていた異国文化への憧れを表現しました。

印象派にも影響を与えたジャポニスム

日本美術の影響は、ティソだけにとどまりませんでした。

モネは日本の浮世絵を収集し、1876年には妻カミーユに着物を着せた『ラ・ジャポネーズ』を制作しています。

『ラ・ジャポネーズ』(モネ)

ゴッホも浮世絵に魅了され、歌川広重の作品を模写しました。

『ジャポネズリー:雨の橋』(ゴッホ)

日本美術は、ヨーロッパの画家たちが従来の遠近法や構図を見直すきっかけの一つとなったのです。

ティソの作品では、赤いドレスの女性が日本の品々を熱心に見つめています。

彼女たちの周囲に並ぶ日本の工芸品は、遠い東洋の文化が19世紀パリの日常に入り込んでいたことを伝えています。

(文:Indiebase編集部)


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