ドキュメンタリー映画『Feel/Unfeel フィール/アンフィール ―感覚過敏と感じない社会』が、2026年12月11日(金)から、東京・UPLINK吉祥寺を皮切りに、全国で順次公開される。日本とアメリカをはじめ、40組以上の当事者、家族、専門家を取材した、118分の長編ドキュメンタリーだ。
光や音、触覚、嗅覚、味覚などの刺激を過敏に感じる「感覚過敏」と、反対に、刺激を感じ取りにくい、あるいは気づきにくい「感覚鈍麻」。外見からは分かりにくく、経験も人によって大きく異なるため、これまで十分に共有されてこなかった。自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害、PTSDなどの精神疾患、脳卒中や事故などによる高次脳機能障害といった背景と関連して語られることもあれば、診断名がなくても、感覚の困難を抱える人は少なくない。
企画のきっかけは、コロナ禍だ。マスクの着用が難しい子どもたちの存在が広く知られるようになった。感覚の特性は、本人の努力だけでは調整が難しい場合があるが、周囲からは「気にしすぎ」「わがまま」「甘え」と誤解されやすく、学校や職場、公共空間で強いストレスや孤立につながる。本作は、これを「個人の問題」として閉じず、日本とアメリカなどでの取材を通して、社会制度や文化的背景まで検証し、「誰もが生きやすい社会」へのヒントを探る。
登場する当事者は、さまざまだ。
・花島愛弥さん:知的障害をともなう自閉症のアーティスト。強い聴覚過敏と視覚過敏があり、感覚過敏を自分で表現できないことで、一時は「退行」して歩けなくなった

・ともさん:ごく最近、ADHDと診断された。子ども時代は障害を理解されず、親や学校から差別的な扱いを受けた。もともとあった感覚過敏が、PTSDでより強くなった

・加藤路瑛さん:多くの感覚過敏があるが、診断はない。13歳で起業し、感覚過敏の啓発や研究に携わっている

・和田菜々美さん:ASDと軽度知的障害があり、強い視覚過敏と聴覚過敏のため、外出時は帽子とイヤーマフが欠かせない

・佐藤太一郎さん:脳梗塞による高次脳機能障害で、「感覚」に大きな変化があり、「世界が多くの情報に囲まれている」と強く感じるようになった

・マーリーン・メイリングさん:南アフリカの看護師。聴覚過敏が強く、医療現場での仕事に困難があり、ノイズキャンセリングのヘッドホンなどで工夫している

・竹田契一さん:長く特別支援教育や学習障害の支援に携わり、教育現場の課題を語る

本作では、当事者の実体験の一部を再現シーンとして描いている。過剰な愛情ゆえに息子へ虐待を繰り返してしまう母親を、元宝塚歌劇団の帆純まひろさんが演じる。メインのナレーションは、映画『うぉっしゅ』(2025年)主演の中尾有伽さんが担当する。
監督・プロデューサーは、『ノルマル17歳。-わたしたちはADHD-』(2023年)を手がけた北宗羽介さん。北監督と八艶合同会社が主体となってプロジェクトを始め、企画意図に賛同した、視覚過敏に対応した眼鏡「イノチグラス」を展開する株式会社Innochiと、「感覚過敏研究所」を運営する株式会社クリスタルロードが、共同製作として加わった。製作は、後援や協賛、個人のクラウドファンディングの支援でも支えられている。前作は、映画館での公開後も、全国100か所以上で自主上映が続いている。
■公開情報
タイトル:Feel/Unfeel フィール/アンフィール ―感覚過敏と感じない社会
公開:2026年12月11日(金)より全国順次公開
・東京:UPLINK吉祥寺(12月11日〜)
・京都:UPLINK京都(2027年1月15日〜)
・大阪:第七藝術劇場(1月16日〜17日)、シアターセブン(1月18日〜)
上映時間:118分(全編字幕付/16:9/5.1ch)
■作品情報
監督・プロデューサー:北宗羽介
音楽:西田衣見
エグゼクティブ・プロデューサー:灰谷孝(Innochi)、加藤路瑛(感覚過敏研究所)
製作:八艶合同会社、株式会社Innochi(イノチグラス)、感覚過敏研究所(株式会社クリスタルロード)
配給:八艶合同会社
出演:花島愛弥、とも、加藤路瑛、山下恵理、竹田契一(医学博士)、高山恵子(臨床心理士・薬剤師)、長谷川司、和田菜々美、マーリーン・メイリング、山瀬健治、佐藤太一郎 ほか
再現シーン出演:帆純まひろ、神子拓豊、佐藤大地、竹森郁眞、飯島紗世、水野鷹音、世田一恵 ほか
ナレーター:中尾有伽、北宗羽介
