インディースタジオOveredge Gamesが開発する一人称ナラティブ・イマーシブシミュレーション『Selsoviet』。Steamストアページが公開された本作、「足りないものを、誰に配るか」という重いテーマを正面から扱う意欲作なので紹介したい。プラットフォームはPC(Steam)で、日本語に完全対応。体験版も近日公開予定だ。
店主リザは、限られた食料を誰に渡すのか
舞台は1976年、ソ連極東の寒村ヘロタ。物資は乏しく、外の世界からは孤立し、国の制度からも忘れられたまま、静かに寂れてきた土地だ。プレイヤーが演じるのは、この村で小さな商店を任された店主リザ。二児の母でもある彼女は、深刻な品不足のなか、なけなしの食料を村の誰に売り、誰に我慢してもらうかを毎日決めることになる。そのひとつひとつの判断が、あとになって必ず返ってくる。
しかも彼女には、店のカウンターより重い事情がある。子どもたちが重い病を抱えているのに、ヘロタに治せる医者はおらず、病院ははるか遠い。家族を救うためなら、どこまでやっていいのか。本作では、生き延びることそのものが「どこで折り合いをつけるか」という問いになっていく。

パンを焼き、密造酒を仕込む「生きた商店」
ゲームの枠組みは商店経営だが、それだけでは終わらない。村人たちはそれぞれの事情を抱えて生きるNPCとして動き、物語はプレイヤーの選択で分岐して12種類のエンディングへたどり着く。プレイ時間は選び方次第で4時間にも50時間にもなるという。
店の中では、パンを焼いたり、密造酒(サマゴン)を仕込んだり、足りない品物を自分の手で作り出せる。出て行ける者から順に村を去っていくなかで、それでも残ると決めた人たちの日々。何もない毎日の裏側にある小さなドラマこそが、本作がいちばん描きたいものなのだろう。

タイトル:Selsoviet
ジャンル:ナラティブ・イマーシブシミュレーション
開発:Overedge Games
発売日:未定
プラットフォーム:PC(Steam)
プレイモード:シングルプレイ
エンディング数:12
プレイ時間:4〜50時間
日本語:対応
体験版:近日公開
▶ Steamストア:『Selsoviet』をチェックする
This War of MineやPapers, Pleaseが証明したように、「配る側の苦しみ」はゲームだからこそ体験できる題材だ。ソ連の寒村の商店カウンターという舞台は、その系譜の新たな一席になり得る。パンを渡す相手を選ぶたびに、誰かを選ばなかったことになる。この重さを4〜50時間どう背負わせてくるのか、体験版の公開を待ちたい。
(文:Indiebase編集部)
