Indiebase編集部です。
一度観ただけでは、何が起きていたのかわからない。夢と現実の境界が曖昧だったり、時間が複雑に入り組んでいたり、物語の意味そのものが観客の解釈に委ねられていたり。映画には、観終わったあとから本当の鑑賞が始まるような「難解映画」があります。
答えを明確に提示しないからこそ、何度も観返したり、伏線や象徴について考えたりする面白さがあるのも魅力です。
今回は、SFやミステリーから、リンチ、タルコフスキー、フェリーニ、ベルイマンら巨匠の作品まで、一度観ただけでは理解しきれないおすすめの難解映画20作品を紹介します。
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1. マルホランド・ドライブ

監督:デヴィッド・リンチ / 公開年:2001年
ロサンゼルスで女優を目指すベティが、記憶を失った謎の女性リタと出会い、彼女の過去を探っていくミステリー。物語が進むにつれ、現実と夢、記憶の境界が少しずつ崩れていきます。
登場人物の名前や関係性さえ変化し、どこまでが現実なのか簡単には答えが出ない構成が特徴。観るたびに異なる解釈が生まれる、難解映画を代表する一本です。
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2. メメント

監督:クリストファー・ノーラン / 公開年:2000年
新しい記憶を長時間保てない男レナードが、妻を殺した犯人を追うサスペンス。写真やメモ、身体に刻んだタトゥーを手掛かりに、自分が忘れてしまう事実を記録していきます。
最大の特徴は、物語の主要部分が時間を遡るように提示されていく構成。主人公と同じように観客も情報を失った状態で真相を追うことになり、二度目の鑑賞で印象が大きく変わります。
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3. 2001年宇宙の旅

監督:スタンリー・キューブリック / 公開年:1968年
人類の進化に関わる謎の黒い石板「モノリス」と、木星へ向かう宇宙船ディスカバリー号の旅を描いたSF映画史の金字塔。人工知能HAL 9000と乗組員の対立も描かれます。
セリフによる説明を極力排し、映像と音楽によって人類の進化や知性、宇宙的存在を表現。特に終盤は象徴的な映像が連続し、その意味について現在までさまざまな解釈が語られています。
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4. ドニー・ダーコ

監督:リチャード・ケリー / 公開年:2001年
郊外で暮らす高校生ドニーの前に、不気味なウサギの姿をした「フランク」が現れ、世界が終わるまでの日数を告げる青春SF。不可解な出来事が次々と彼の周囲で起こります。
青春映画のように始まりながら、時間移動や因果関係、並行世界を思わせる要素が複雑に絡み合うのが特徴。ラストまで観ると序盤の出来事をもう一度確認したくなる作品です。
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5. TENET テネット

監督:クリストファー・ノーラン / 公開年:2020年
世界の破滅を阻止する任務を与えられた名もなき主人公が、時間を逆方向へ進む「逆行」を利用する敵に挑むSFアクション。通常の時間と逆向きの時間が同じ世界で交錯していきます。
順行と逆行で同じ出来事が異なる方向から描かれ、物語そのものが巨大なパズルのように構成されています。理屈を完全に把握しようとすると、一度の鑑賞では追いつくのが難しい一本です。
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6. ミスター・ノーバディ

監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル / 公開年:2009年
人類が不死を手に入れた未来で、最後の「死ぬ人間」となった老人ニモが自らの人生を振り返るSFドラマ。しかし彼が語る過去には、互いに矛盾するいくつもの人生が存在しています。
幼い頃のひとつの選択から複数の可能性が枝分かれし、異なる人生が並行して描かれる構成が特徴。「選ばなかった人生は存在しないのか」という問いを投げかける、考察しがいのある一本です。
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7. アイズ ワイド シャット

監督:スタンリー・キューブリック / 公開年:1999年
妻から思いがけない告白を聞いた医師ビルが、嫉妬と動揺を抱えたまま夜のニューヨークをさまよい、やがて仮面をつけた人々による秘密めいた集会へ迷い込む心理ドラマ。現実とも悪夢ともつかない一夜が描かれます。
欲望や嫉妬、夫婦関係を軸に、仮面や儀式など意味深なモチーフが随所に登場。どこまでが現実で、主人公が目撃したものは何を意味するのか、さまざまな解釈を誘うキューブリック最後の監督作です。
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8. インセプション

監督:クリストファー・ノーラン / 公開年:2010年
他人の夢に侵入し、潜在意識から情報を盗み出す特殊な技術を持つコブが、標的の心にアイデアを植え付ける「インセプション」に挑むSFサスペンス。仲間たちとともに、何層にも重なった夢の世界へ潜入します。
夢の階層によって時間の流れが変化し、複数の出来事が同時進行する複雑な構成が特徴。現実と夢の境界をめぐるラストまで含め、何度も観返したくなるノーランの代表作です。
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9. 8 1/2

監督:フェデリコ・フェリーニ / 公開年:1963年
新作映画を作れずに行き詰まった映画監督グイドが、仕事や女性関係に悩みながら、自分自身の人生と向き合っていく作品。現実だけでなく、彼の記憶や夢、空想が次々と入り込んできます。
映画を作れない監督について映画を作るという自己言及的な構造も大きな特徴。現実と幻想の境界をあえて曖昧にしながら、創作することや人生そのものを描いた映画史上の傑作です。
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10. ロスト・ハイウェイ

監督:デヴィッド・リンチ / 公開年:1997年
サックス奏者フレッドの家に、自宅を撮影した謎のビデオテープが届き始めるところから始まるミステリー。やがて物語は思いもよらない方向へ変化していきます。
途中から人物や時間、アイデンティティそのものが揺らぎ始め、一般的な因果関係だけでは整理できない世界へ突入。悪夢をそのまま映画にしたようなリンチ独特の感覚を味わえます。
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11. アンダー・ザ・シルバーレイク

監督:デヴィッド・ロバート・ミッチェル / 公開年:2018年
ロサンゼルスで暮らす青年サムが、突然姿を消した隣人の女性を探し始めるミステリー。街に隠された暗号やメッセージを追ううちに、奇妙な陰謀へとのめり込んでいきます。
映画、音楽、コミック、都市伝説など大量のポップカルチャーが暗号のように散りばめられているのが特徴。それらに本当に意味があるのかという点まで含め、考察したくなる作品です。
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12. 気狂いピエロ

監督:ジャン=リュック・ゴダール / 公開年:1965年
退屈な生活を送るフェルディナンが、かつての恋人マリアンヌと再会し、彼女とともに逃避行へ出る物語。犯罪に巻き込まれながら、ふたりは南フランスを目指して旅を続けます。
恋愛映画や犯罪映画の形を取りながら、物語は突然の引用や独白、断片的な編集によって自由に脱線していきます。ストーリーを追うだけでは捉えきれない、ゴダールならではの映画表現そのものを楽しむ難解作です。
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13. ストーカー

監督:アンドレイ・タルコフスキー / 公開年:1979年
願いが叶うとされる謎の「部屋」が存在する危険地帯「ゾーン」へ、案内人ストーカーが作家と教授を連れて向かうSF映画。三人は荒廃した土地を進みながら目的地を目指します。
SF的な設定を持ちながら、中心となるのは信仰や欲望、幸福、人間の本質をめぐる哲学的な対話。ゾーンや部屋が何を意味するのかも明確には説明されず、観る側によって解釈が変わります。
14. ノスタルジア

監督:アンドレイ・タルコフスキー / 公開年:1983年
ロシア人作家アンドレイが、18世紀のロシア人作曲家について調査するためイタリアを旅するなかで、故郷への思いや孤独を深めていく作品。そこで世界の終末を信じる男ドメニコと出会います。
水や火、廃墟、霧といった象徴的な映像を通して、故郷への郷愁や信仰、自己犠牲などを描写。物語を理解するというより、映像や時間そのものを体験するようなタルコフスキーらしい一本です。
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15. 去年マリエンバートで

監督:アラン・レネ / 公開年:1961年
豪華なホテルで出会った男女。男は女性に「去年ここで会い、駆け落ちを約束した」と語りますが、女性にはその記憶がありません。同じような会話や光景が繰り返されていきます。
現在と過去、記憶と想像の境界が曖昧で、そもそも男の話が事実なのかも明示されません。時間と記憶を大胆に組み替えた、映画史を代表する難解作品のひとつです。
16. 仮面/ペルソナ

監督:イングマール・ベルイマン / 公開年:1966年
突然言葉を発しなくなった女優エリーサベットと、彼女の療養に付き添う看護師アルマを描く心理ドラマ。海辺の別荘で二人きりの時間を過ごすうちに、互いの人格や感情の境界が次第に曖昧になっていきます。
二人の顔が重なり合う映像や映画そのものを意識させる演出など、説明されない表現が随所に登場。自己と他者、仮面と本当の自分をめぐる解釈が現在まで続く、ベルイマンを代表する難解作です。
17. アナイアレイション -全滅領域-

監督:アレックス・ガーランド / 公開年:2018年
謎の領域「シマー」から帰還した夫の異変をきっかけに、生物学者レナが調査隊へ参加するSF。内部では動植物が異常な変化を遂げ、通常の自然法則では説明できない現象が起きています。
物語後半になるほどSF的な説明より象徴的な映像が中心となり、自己破壊や変化、コピーといったテーマが浮かび上がります。特に終盤は解釈の余地が大きく残された作品です。
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18. 桜桃の味

監督:アッバス・キアロスタミ / 公開年:1997年
テヘラン郊外を車で走る男バディが、自分の死後にある仕事をしてくれる人物を探して声をかけ続ける物語。車内で交わされる会話を中心に、静かに物語が進んでいきます。
生きることと死ぬことをめぐる問いに明確な答えを提示せず、観客自身に考える余地を残しているのが特徴。終盤に訪れる大胆な転換も含め、「映画を観る」という行為そのものへ意識を向けさせる作品です。
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19. 野いちご

監督:イングマール・ベルイマン / 公開年:1957年
名誉博士号を受け取るため旅に出た老教授イサクが、道中で過去の記憶や夢と向き合っていく人間ドラマ。幼少期を過ごした家や「野いちご」の場所を訪れ、自らの人生を振り返ります。
現実の旅の途中へ夢や記憶が自然に入り込み、老い、孤独、後悔、死といったテーマが重なっていく構成が特徴。難解でありながら感情的にも強く響くベルイマンの代表作です。
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20. パプリカ

監督:今敏 / 公開年:2006年
他人の夢へ入り込める装置「DCミニ」が盗まれ、夢が現実世界へ侵食し始めるSFアニメーション。研究者の千葉敦子と、夢の世界で活動するもうひとつの人格「パプリカ」が事件を追います。
夢から別の夢へと場面が連続的に変化し、やがて現実との境界まで崩壊していく映像表現が圧巻。何が夢で何が現実なのかという問いを、アニメーションならではの自由な表現で描いた今敏監督の代表作です。
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一度ではわからないからこそ、もう一度観たくなる
難解映画には、必ずしもひとつの「正解」が用意されているわけではありません。複雑な時間構造を読み解く作品もあれば、象徴や哲学的なテーマについて観客自身が意味を考える作品もあります。
『メメント』や『TENET テネット』のように構造を解き明かす面白さを持つ作品から、『マルホランド・ドライブ』『ノスタルジア』『桜桃の味』のように解釈そのものを楽しむ作品まで、その難しさもさまざま。気になった作品は、一度目でわからなくても、ぜひもう一度観返してみてください。
(文:Indiebase編集部)
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