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サージェント「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」|1日数分しか描けなかった名画

Indiebase編集部です。

今日紹介するのは、アメリカ出身の画家ジョン・シンガー・サージェントが1885年から1886年にかけて描いた「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」。白い服の少女2人が、庭で提灯に火を灯している場面です。

スキャンダルからの逃避先で見た光景

この絵の制作が始まった頃、サージェントはパリで大きなスキャンダルの渦中にいました。前年に発表した肖像画「マダムX」が、モデルの肩紐がずり落ちた挑発的なポーズをめぐって物議を醸し、評判が地に落ちていたのです。傷心のままイギリスに渡ったサージェントは、テムズ川でのボート遊びの最中、木々にぶら下がる提灯と花々が織りなす光景に出会います。この一瞬の美しさに心を奪われ、絵にすることを決めました。

「マダムXの肖像」

1日数分しか描けなかった

制作は難航しました。サージェントが再現したかったのは、日が沈む直前のごく短い時間だけに現れる薄闇の光。そのため毎晩その時間になると画材を用意し、モデルの少女2人を庭に立たせ、光が消えるまでのわずか数分間だけ筆を動かすという作業を繰り返しました。秋が近づき花が枯れると、造花や鉢植えに植え替えて対応したといいます。結局、完成までに2度の夏をまたぎ、1年以上かかりました。

「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」

モデルを務めたのは、画家仲間の娘であるドリー(11歳)とポリー(7歳)の姉妹。サージェントは、狙っていた光の色合いに合う髪の色を持つ子供を探して、この2人にたどり着いたと言われています。

タイトルは、当時流行っていた歌の一節

少し不思議なこのタイトルは、18世紀の作曲家ジョゼフ・マッツィンギの流行歌「花輪」の歌詞から取られています。「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」というのは、その歌の中で花嫁が身につけていた花輪を表す一節でした。

発表当初は酷評、今や国民的な人気作

1887年、ロイヤル・アカデミーの夏季展でこの絵が発表されると、評価は真っ二つに割れました。当時のある新聞は「一緒に暮らしたくない絵」の企画特集にこの絵を選んでいます。それでもこの作品は次第に評価を高め、現在ではテート・ブリテンでも屈指の人気を誇る所蔵作品の一つになっています。

(文:Indiebase編集部)

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