ART

パウル・クレー「さえずる機械」とは?ナチスに「退廃芸術」として没収された名画の数奇な運命

Indiebase編集部です。

今日紹介するのは、スイス出身の画家パウル・クレーが1922年に描いた「さえずる機械」。針金のような線で描かれた4羽の鳥が、ハンドルのついた横棒につながれています。一見かわいらしい絵ですが、成り立ちを追うとそう単純な話ではありません。

バウハウスで生まれた皮肉

クレーがこの絵を制作したのは、前衛的な美術学校バウハウスで教鞭を執っていた頃です。バウハウスの標語は「芸術と技術、新たな統一」でした。しかしこの絵に描かれているのは、鳥という生き物が機械仕掛けの装置に組み込まれ、ハンドルを回されるたびに鳴かされる姿。研究者の間でも解釈は分かれていて、悪夢的な罠とする見方もあれば、機械化に対する自然の側からの抵抗と読む見方もあります。

「退廃芸術」として没収される

1923年、この絵はベルリンのナショナルギャラリーに収蔵され、しばらく同館で展示されていました。1931年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)へ貸し出されたこともあります。ところが1933年にナチスが政権を握ると、クレーの作品は前衛的すぎるとして次々に「退廃芸術」の烙印を押されることになり、「さえずる機械」も1937年に美術館から没収されました。

破壊ではなく、海外に売られた


「退廃芸術」に指定された作品の多くは、燃やされたり倉庫に眠らされたりしたわけではありません。ナチスは外貨獲得のため、これらの作品を海外の画商に売却していました。「さえずる機械」も1939年に画商の手に渡り、そのままアメリカへ。最終的にMoMAが購入し、現在も同館のコレクションの中でも特に人気の高い作品の一つになっています。

皮肉にも、今は子供部屋の定番に

かつて危険思想の象徴として国家に没収された絵が、今ではその愛らしい見た目から子供部屋に飾る絵としても人気だといいます。鳥のさえずりを機械で無理やり作り出すという不穏な着想は、SNSの通知音に追い立てられる現代の私たちの姿を先取りしていた、と評されることもあります。

(文:Indiebase編集部)

RANKING
DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
RECOMMEND

関連記事

PAGE TOP