Indiebase編集部です。
肥大化した自意識と自己嫌悪、人間関係への不器用さ、道化を演じてしまう悲哀、そして抗えない破滅衝動。太宰治の作品は、人間の弱さや醜さを隠すことなく描き、今なお多くの読者を惹きつけています。
今回は、自己否定や孤独、本当の自分を隠す苦しさ、破滅への衝動など、太宰文学に通じる感覚を持つ漫画10作品を厳選しました。
※巻数・商品情報は記事公開時点の情報です。掲載している巻数は作品の完結・連載状況を示すものではありません。最新の刊行状況については各商品ページをご確認ください。
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膨れ上がる自意識と絶望!太宰治好きに刺さる漫画10選
1. ヒミズ

著者: 古谷実
巻数: 全4巻
「普通になりたい」と願いながら、悲惨な家庭環境と暴力に追い詰められていく中学生・住田祐一。平凡を望むほど現実との隔たりは大きくなり、自己嫌悪と絶望の中で破滅へ近づいていきます。
自分を受け入れられず、他人から差し伸べられた手さえ拒んでしまう姿が痛々しい一作。「普通の人間として生きたい」という願いそのものが苦しみに変わっていく感覚は、『人間失格』にも通じます。
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2. おやすみプンプン

著者:浅野いにお
巻数:全13巻
少年・プンプンの成長を通して、家族の崩壊、初恋、性、劣等感、孤独を描いた長編青春漫画です。
誰かに愛されたいのに、人とうまく関われない。理想化した恋に救いを求めながら、自己嫌悪によって自分自身を追い詰めていく姿には、太宰作品にも通じる息苦しさがあります。
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3. 無能の人

著者: つげ義春
巻数: 全1巻
漫画家としての仕事から離れ、多摩川の河原で拾った石を売るなど、世間から見れば不可解な商売を始める男・助川助三。
社会から脱落していく男の情けなさを、自嘲とユーモアを交えながら描いた私小説的な名作です。どうしようもない人間の弱さや哀しさを、どこか可笑しく描く感覚は太宰好きにも刺さります。
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4. リバーズ・エッジ

著者:岡崎京子
巻数:全1巻
1990年代の東京郊外。高校生の若草ハルナは、いじめられている同級生・山田一郎と親しくなり、河川敷に隠されたある秘密を共有します。
恋愛、暴力、性、死を抱えながら、世界は何事もなかったかのように進んでいく。誰かとつながりたいのに完全には理解し合えない若者たちの孤独には、太宰文学にも通じる居心地の悪さが漂います。
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5. 累―かさね―

著者:松浦だるま
巻数:全14巻
醜い容姿に強いコンプレックスを抱える少女・累は、口づけした相手と顔を入れ替えられる不思議な口紅を使い、美しい他人の顔を借りて舞台へ立つようになります。
「醜い本当の自分」と「美しい仮面の自分」の間で苦しみ続ける累の姿は、太宰が『人間失格』で描いた「道化」とも重なります。本当の自分を隠して他人に受け入れられようとする苦しさを描いた心理劇です。
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6. 惡の華

著者:押見修造
巻数:全11巻
ボードレールの『惡の華』を愛読し、自分は周囲とは違うと思っている中学生・春日高男。ある秘密を同級生に握られたことから、日常が大きく崩れ始めます。
「自分は特別だ」という自意識と、「実際の自分は何者でもない」という劣等感。文学への憧れ、羞恥、自己嫌悪、破滅への衝動が絡み合う、太宰好きとの相性が非常に良い一作です。
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7. さよなら絶望先生

著者: 久米田康治
巻数: 全30巻
何事も極端にネガティブに捉え、「絶望した!」と叫ぶ高校教師・糸色望と、個性的な生徒たちの日常を描くブラックコメディです。
社会の矛盾や人間関係の面倒さを皮肉りながら、あらゆる絶望を笑いへ変えていくのが魅力。自分の弱さや生きづらさすら自虐的な笑いにしてしまう感覚は、太宰作品のユーモアにも通じます。
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8. 愛しのアイリーン

著者: 新井英樹
巻数: 全6巻
40歳を過ぎても女性とうまく関係を築けない宍戸岩男は、フィリピンへ渡り、若い女性アイリーンと結婚して日本へ戻ってきます。
貧困、差別、性欲、嫉妬、家族との確執。登場人物たちは身勝手で不器用でありながら、それでも誰かに愛されようともがきます。人間の醜さと哀しさを容赦なく描く強烈な一作です。
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9. ホムンクルス

著者:山本英夫
巻数:全15巻
新宿で車上生活を送る男・名越進は、頭蓋骨に穴を開ける「トレパネーション」を受けたことで、他人の姿が異形に見えるようになります。
他人の内面を暴こうとするほど、自分自身の過去や虚飾も剥がされていく展開が強烈。「自分は何者なのか」という問いと、理想の自分と現実の自分との乖離を徹底して描いたサイコサスペンスです。
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10. 人間失格

原作:太宰治 / 著者:古屋兎丸
巻数:全3巻
太宰治の代表作『人間失格』を、古屋兎丸が漫画として再構築した作品です。
他人を恐れ、本心を隠すために「道化」を演じ続ける大庭葉蔵。原作で文章として語られた自己嫌悪や羞恥が、古屋兎丸の絵によって生々しく可視化されています。
太宰治が好きな人なら、原作との違いも含めて読んでおきたい一作です。
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太宰治が描いた「生きづらさ」は漫画の中にもある
太宰治の作品に流れるのは、単なる暗さや絶望だけではありません。
自分を好きになれない。他人の目が怖い。本当の自分を隠してしまう。それでも誰かに理解されたい。
『ヒミズ』『おやすみプンプン』『惡の華』『累―かさね―』など、今回紹介した作品にも、そんな自意識と孤独に苦しむ人間たちが描かれています。
太宰文学に心を掴まれたことがあるなら、漫画の中にも同じような痛みや可笑しさを見つけられるはずです。
(文:Indiebase編集部)
