2016年に発売されて以来、高い人気を誇る対戦型ゲーム『Dead by Daylight』。本作をメインに活動するゲーム配信者も多く、遊んだことはなくとも、一度は見たり聞いたりしたことがある人が多いだろう。
本作には、有名な事件やゲーム、名作ホラー映画を題材としたキャラクターが数多く登場する。その再現度は高く、原作ファンからの評価も厚いが、ゲームという枠に落とし込む以上、どうしても“原作との違い”が生まれる。
この記事では、映画でおなじみのキラー(殺人鬼)たちが『Dead by Daylight』でどのように描かれているのか、原作との共通点と相違点を比較しながら紹介していく。
※本作で紹介するコラボキャラクターの中には、ライセンス契約により仕様が変更されるものや、アップデートなどで能力が変わっている可能性もある。プレイ時には注意してほしい。
『Dead by Daylight』とはどんなゲームなのか
まずは、本作『Dead by Daylight』について簡単に説明していこう。
本作は2016年に発売された非対称型対戦ゲームである。プレイヤーは4人組の「サバイバー(生存者)」と1人の「キラー(殺人鬼)」に分かれて「儀式」に挑むことになる。

(出典:Steam「デッドバイデイライト」より)
サバイバーの目的は、発電機を直して儀式から脱出すること。キラーの目的はサバイバーの脱出を阻止し、できる限り多くエンティティへの生贄に捧げること(プレイの仕方によっては、単純な殺害を目指すこともある)。パーク(能力)の組み合わせや、キラーとサバイバーの動きの読み合い、サバイバー同士での駆け引きなど戦略性の高い要素が多く、対戦ゲームとして奥深い作りとなっている。

(出典:Steam「デッドバイデイライト」より)
そのゲーム性からYouTubeなどでの配信も盛んで、有名な芸能人がプレイ動画を上げていたり、本作をメインコンテンツとしている配信者なども多くいたりと、リリースから長い年月が経った今でも、その盛り上がりは衰えていない。
様々な作品とのコラボが多いのが特徴
本作は実在の人物や事件を元としたキャラクターや、映画やドラマ、ゲームや漫画などとのコラボが多いのも特徴的だ。
例えば、キラーのドクターとクラウンは、実在の人物を元にしたとされている。ドクターは電気ショック療法を行った中国の精神科医がモデルとされ、その特殊能力にも、そのエピソードが見て取れる。クラウンは有名なシリアルキラー、ジョン・ゲイシーがモデルと考えられ、見た目はもちろん、その背景ストーリーも彼を想起させるものだ。
また、映画やゲームといった創作物とのコラボには、「新キャラクターとしての参戦」と「既存キャラの衣装(スキン)」としての登場の2パターンがある。本記事のメインテーマとなる映画コラボは別で解説するが、以下のような多様なコラボが本作で行われている。
・『バイオハザード』(新キャラクター)
・『アラン・ウェイク』(新キャラクター)
・『悪魔城ドラキュラ』(新キャラクター)
・『東京喰種トーキョーグール』(スキンコラボ)
・『ウォーキング・デッド』(スキンコラボ)
『Dead by Daylight』とコラボした映画作品
以下に、本作とコラボした主要な映画作品を挙げてみた。有名ホラー映画が軒を連ねており、錚々たる面々と言えるだろう。
・『ハロウィン』:キラー、サバイバーの両方を実装
・『エイリアン』:キラー、サバイバーの両方を実装
・『チャイルド・プレイ』:キラーを実装
・『エルム街の悪夢』:キラー、サバイバーの両方を実装
・『ヘルレイザー』:キラーを実装
・『リング』:キラー、サバイバーの両方を実装
・『死霊のはらわた』:サバイバーを実装
・『悪魔のいけにえ』:キラーを実装

(『ヘルレイザー』コラボ)
別枠として、映画『13日の金曜日』のジェイソンをモチーフにしたキラーがいるほか、俳優のニコラス・ケイジが本人そのものとして登場している。
『Dead by Daylight』での“キラー”という存在の描かれ方
『Dead by Daylight』というゲームは、キラーとサバイバーの双方がいないと成り立たない。しかし、(私見にはなるが)「キャラクターの描き方」という観点では、キラーの方がおもしろく感じる。
そもそも、キラーとはいったい何なのか。この項では、本作におけるキラーという存在について考えていこう。
キラーについて知るためには、プレイアブルキャラではないものの、本作の重要な位置を占める「エンティティ」について知らなければならないだろう。
エンティティについて分かっていることは多くない。はっきりとしているのは、本作の舞台である「霧の森」を作った邪神であること、カニや蜘蛛の足に似た部位を持つこと、そして、サバイバーを生贄に捧げられることで喜ぶことだろう。また、一部では女神のような存在とも囁かれている。
キラーは、そんなエンティティに忠誠を誓ったものたちだ。エンティティのためにサバイバーたちを狩り、フックに吊るし、生贄に捧げようとする(ちなみに、サバイバーは何度生贄に捧げられても生き返る)。最初から残酷な行為に抵抗が無いものもいるが、エンティティからの拷問により、人間性を失ってしまったキラーもいる。
また、本作はPvPがメインコンテンツのゲームとは思えないほど、キャラクターの過去が作りこまれている作品でもある。プレイヤーは「学術書(アーカイブ)」を進めることでキャラクターの過去を覗き見ることができるのだ。
それぞれの過去を見ることで理解できるもの。それを踏めた上で、現在のキラーの姿かたちを見て分かるもの。それは、一見恐ろしく感じるキラーも、何らかの被害者的な、悲劇的な要素を持っているということである。その代表が、トラッパーやナース、ハグといった、初期からいるオリジナルのキラーたちだ。
彼らは皆、生まれながらの殺人者だったわけではない。トラッパーは父親との関係に苦しむ青年であり、ナースは過酷な労働環境に追い詰められた看護師であり、ハグは「おまじない」を信じる、誘拐と飢餓の恐怖に晒された少女だった。彼らはそれぞれの事情から狂気を発露し、普通の人間からキラーへと変貌を遂げたのだ。もちろん、その過程にエンティティが深くかかわっていることは間違いない。
特に初心者にとって、恐ろしい見た目をしたキラーはとっつきにくい存在だ。また、一人称視点でのプレイなのも難点である。三人称視点であり、見た目がかわいらしく(格好よく)、複数人でプレイできるサバイバーは遊びやすい。
しかし、キラーの過去が描かれていることで、本作のプレイはより深みを増していく。学術書を通してキラーの過去を知り、何等かの感情を抱いたら、もうキラーとして片足を踏み出しているといっても過言ではない。
キラーに「人間としての存在感」を持たせること。そして、そのキラーとして行動できること。これこそが、本作のキラーの描き方であり、キラーをプレイする醍醐味と言えるのではないだろうか。
『Dead by Daylight』のキラーは原作映画とどう違うのか|再現度と改変点を比較
先に述べた通り、本作には多数の映画とコラボしたキラーが登場する。本作は原作であるコラボ元を非常にリスペクトしており、忠実なキャラクター造形を行うことで有名だ。しかし、別ジャンルからゲームへ落とし込む際に、どうしても描写の違いが生まれてしまう。
この項では、原作となる映画の再現度や、改変された部分について、シェイプ・カニバル・オンリョウの3人を挙げて解説していきたい。
まずはシェイプから。

シェイプ(THE SHAPE)は、映画『ハロウィン』に登場するブギーマンを元にしたキラーである。青いつなぎと白塗りのマスク、巨大な包丁を持った大男として描写され、殺人に対してなんのためらいも持っていない。原作のヒロインであるローリー・ストロードもまた、サバイバーとして実装された。
本作で描かれるシェイプは、原作の見た目と、その異質な存在感を見事に再現している。原作でローリーを執拗に、しかし徐々に追い詰めたのと同じように、サバイバーをじっくりと付け回す、ストーカー型のプレイスタイルが似合うキャラクターとなっているのだ。
通常、サバイバーはキラーの接近を「心音」で把握する。しかし、初期段階のシェイプには心音がなく、気が付くと後ろからジッと見つめられていることになる。また、原作の殺意の高さを意識してか、サバイバーを生贄に捧げることなく直接殺害できる「メメント・モリ」がしやすいキラーでもある(モーションも映画に準じており、一見の価値あり)。
半面、原作で発揮していたような超人的な強さは、本作では見受けられない。サバイバーを一撃でダウンに持ち込める(通常は2回の攻撃が必須)火力はあるものの、そこに至るまでの道のりが長く、また足が遅いという弱点も相まって、扱いが難しいキラーとなった。
次はカニバルだ。

カニバルは有名なスプラッター映画『悪魔のいけにえ』に登場するレザーフェイスを元としたキラーである。原作では人食い一家の末っ子として、家に侵入してきた主人公たちを追いかけまわし、殺害しようとする恐ろしい存在である。チェーンソーを武器としており、人間の顔の皮で作った仮面を常に被っている。
本作では、シェイプと同じように、見た目やチェーンソーは映画版そのままに再現されている。チェーンソーを使った攻撃は強力で、サバイバーを一撃ダウンに持ち込める。また、チェーンソー攻撃を失敗した際に見られる「癇癪」は、原作の最後で、主人公に逃げられて悔しがるレザーフェイスを見事に再現している。本人を操作していると見られないが、サバイバー側目線で一度確認してほしい。
カニバルの再現度は非常に高く、レザーフェイスになりきった気分でプレイできるキラーだ。しかし、プレイヤーが操作する前提であるためか、原作で見られたような感情の揺らぎは分かりにくくなっている。
原作のレザーフェイスが「感情的な怪物」だとするならば、本作のカニバルは「無言の処刑者」と言えるだろう。
最後に、オンリョウを取り上げよう。オンリョウとはキラー名で、一般的に知られる名前は「貞子」である。

ご存じの人も多いだろうが、貞子は小説とその映画化『リング』に登場する怨霊である。『リング』からは、サバイバーとして浅川陽一も登場している。
貞子に関しては様々な媒体で物語が展開されており、それぞれで異なる設定がなされているが、本作では1998年の映画版に準拠しているようだ。
貞子の見た目は、映画版と変わらない。ボロボロで汚れた白いワンピースを着て、顔を覆い隠すほどの長い髪の毛を前にたらしている。爪はひび割れ血がにじんでおり、生前の悲劇を物語っている。
霊であるため通常はサバイバーに姿が見えず、テレビ間を移動して呪いをばらまくことができる。テレビから這いずり出てくる貞子は映画さながらで、サバイバーとしてプレイすれば、ホラー映画さながらの体験ができる。ちなみに、彼女のメメント・モリではトレードマークの左目が大写しになるのも、映画ファンにはたまらない。
原作との違いとしては、怨霊であるにも関わらず、サバイバーに物理的な攻撃を加えている(ように見える)ことが挙げられる。また攻撃時や呪いの蓄積時に画面に走る砂嵐のようなノイズ演出は、ホラー映画的な没入感を高めてくれる。ゲームとして成立させるためではあるのだろうが、ビデオテープの呪いを「メーター」として視覚化するなどの工夫により、原作の恐怖をゲーム的な緊張感へと見事に変換している。
ここまで見てきたように、本作の映画コラボキラーは原作に忠実であるものの、ゲームという枠に取り入れるための改変が行われている。こうした改変はゲームに必要であるものの、原作ファンには違和感を抱かせる要因にもなるはずだ。
そこで筆者は、本作でのコラボキラーは原作を再現しているのではなく、「再解釈」していると考えた。原作の世界を離れ、『Dead by Daylight』の世界でキラーとして再度生まれ、活動するための再解釈だ。再解釈であるがゆえに、操作するプレイヤーによって生まれるキラー像の揺らぎも魅力の一環となる。
100人のプレイヤーがいれば、100通りのキラーがいる。それが、本作を遊ぶおもしろさといえるのではないだろうか。
まとめ
映画だけでなく、様々な媒体のキャラクターとコラボし、自作に登場させていく『Dead by Daylight』。
本作のキラーたちは、原作を尊重しながらも、ゲームとしての役割を果たすために再構築されている。原作と描写が違ったとしても、「あのキャラクターだ!」と思わせる手腕は素晴らしく、若干の違和感など、どこかに吹き飛んでしまうファンも多いことだろう。
そして、本作と原作の違いに目を向ければ、よりゲームを、映画を、楽しむきっかけとなるはずだ。「映画っぽくキラーを操作してみよう」、「この違いにはこんな意味があるのでは……?」などと考え始めると、時間がいくらあっても足りないだろう。
ゲームで遊んで映画を見る。ドキドキしたシーンに近づけようとキラーを操作する。もしくは、サバイバーになってローリー・ストロードのような悲鳴を上げてみる……などなど。
ぜひ本作をプレイして、様々な楽しみ方を見つけて欲しい。
(文:オオノギガリ)
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