蝉の声が響く午後、少し湿ったアスファルトの匂い、夕暮れ時に遠くから聞こえるチャイム。
私たち日本人の心には、特定の景色に対して「帰りたい」と感じる、共通のノスタルジーが刻まれています。それは必ずしも自分の実家ではなく、かつてどこかで見たような、あるいは創作物の中で触れた「理想の田舎」の風景かもしれません。
今回は、そんな「失われた夏」や「切ない郷愁」をデジタルの中に完璧に閉じ込めた、エモすぎるインディーゲームを5本厳選しました。すべて日本語で、その空気感ごと味わうことができます。
1. NOSTALGIC TRAIN
鉄道模型のレイアウトに迷い込んだような、夏霧町の白昼夢

- 開発: 畳部屋 (日本)
- エモいポイント: Unreal Engine 4で描かれる「日本の夏の田舎」の美しさが、個人の制作とは思えないレベルで到達しています。木造駅舎、眩しい水田、古びた喫茶店。記憶をなくした主人公として歩くその道は、あまりに美しく、どこか寂しい。
- 帰りたくない理由: 目的を忘れて、ただひたすらにあぜ道を歩き、踏切の音を聞きながら「何もしない時間」を過ごしたくなるからです。フォトモードを起動すれば、そこにはあなただけの「あの日の夏」が切り取れます。
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2. 忘れないで、おとなになっても。
昭和の匂いがする「鏡町」で、一人の少年が経験する奇跡

- 開発: GAGEX (日本)
- エモいポイント: どこか懐かしいボクセルアート(立方体のドット絵)で描かれた昭和の町並みが舞台。家出をしてこの町へやってきた少年ミナトが、家族を救うために過去と未来を奔走します。
- 帰りたくない理由: 駄菓子屋、秘密基地、そして不思議な現象。子供の頃、世界の全てが謎に満ちていたあの感覚を思い出させてくれるからです。物語が終盤に向かうにつれ、タイトルの言葉が胸に深く突き刺さります。
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3. すみれの空
たった一日の冒険。夕暮れまでに、やり残したことはない?

- 開発: GameTomo (日本)
- エモいポイント: 水彩画のような淡いタッチで描かれた、日本の静かな町。少女スミレは、人語を話す不思議な花の精霊と出会い、「最高の一日」を作るための約束を交わします。
- 帰りたくない理由: 刻一刻と空の色が変わり、夜が近づいてくる焦燥感と美しさ。出会う人々(や動物たち)との何気ない会話が、自分の過去の後悔や優しさとリンクし、エンディングを迎えるのが怖くなるほどの没入感を与えてくれます。
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4. A Space for the Unbound (心に咲く花)
90年代の空気感。世界の終わりと、高校生の日常

- 開発: Mojiken Studio (インドネシア)
- エモいポイント: 舞台は90年代後半のインドネシア。日本ではありませんが、そこに漂う「アジアの田舎の空気感」は驚くほど共通しています。放課後の教室、川沿いの景色、そして迫りくる超常現象。
- 帰りたくない理由: 緻密なドット絵で描かれる風景の「温度」が伝わってくるからです。主人公アトマとラヤの、脆くて純粋な関係性を見守るうちに、プレイヤー自身が「自分の10代」を再体験しているような錯覚に陥ります。
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5. Behind the Frame 〜とっておきの景色を〜
キャンバス越しに蘇る、セピア色の記憶

- 開発: Silver Lining Studio (台湾)
- エモいポイント: スタジオジブリの作品を思わせる、暖かみのあるアニメーションスタイル。夢を追う画家として、部屋の中から見える景色を描き、パズルを解きながら過去の記憶の断片を繋ぎ合わせていきます。
- 帰りたくない理由: 部屋に差し込む光や、淹れたてのコーヒーの湯気。静かな生活音の中に潜む「誰か」への想いが、一枚の絵として完成していく過程が美しすぎるからです。短いプレイ時間の中に、一本の名作映画を観終えたような濃厚な余韻が残ります。
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■ Indiebase編集部より
これらのゲームを遊び終えた後、ふと顔を上げた時の現実世界は、いつもより少しだけ優しく見えるかもしれません。
「エモい」という言葉では片付けられない、胸の奥がキュッとなるような感覚。それはあなたが、これらの物語を通じて「あの日」に戻ることができた証拠です。忙しい日常の隙間に、これらの静かな世界への切符を手にしてみてはいかがでしょうか。
(文:Indiebase編集部)
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本記事の画像引用について
本記事で使用しているゲーム画面およびアートワークの著作権は、各開発元・配信元に帰属します。
出典: Steam ストアページ
