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犯人は「選択肢」の中にはいない。自らの脳で真実を導き出す「本格推理」インディーゲーム10選

Indiebase編集部です。 かつてのアドベンチャーゲームにおいて、推理とは「正しい選択肢を選ぶこと」と同義だった。 総当たりで怪しい場所をクリックし、コマンドを選べば、主人公が勝手に謎を解いてくれる。我々は探偵ではなく、探偵の物語を読む「読者」に過ぎなかったのだ。

しかし、現代のインディーゲームは違う。 開発者たちは、プレイヤーの知性を信頼し、手取り足取り教えることをやめた。 断片的な証拠、食い違う証言、空白だらけの調書。それらを繋ぎ合わせ、矛盾を指摘し、「あなた自身の脳」で仮説を構築しなければ、ゲームは一歩も進まない。

今回は、安易なヒント機能を排除し、プレイヤーに真の「推理(Deduction)」を要求する硬派なミステリーゲームを10本選出した。 シャーロック・ホームズの苦悩と快感を、安全なモニターの前で味わおう。


1. Return of the Obra Dinn

「死に様」をカタログ化する、論理パズルの最高峰

  • ジャンル: 一人称視点ミステリー
  • 開発: Lucas Pope (アメリカ)

19世紀、消息を絶っていた商船オブラ・ディン号が無人の状態で帰港した。 保険調査員であるプレイヤーの任務は、死体の残留思念を視る懐中時計を使い、乗員乗客60名全員の「身元」と「死因」を特定することだ。 「この帽子を被っているから航海士か?」「彼が発した言葉の訛りは……」。断片的な静止画(フリーズフレーム)から状況証拠だけを頼りに人物を特定していくプロセスは、純粋な論理パズルの極致。 1ビットのレトロなグラフィックで描かれる、圧倒的な情報量と死の連鎖。このジャンルの「歴史」を変えた、記念碑的な傑作。

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2. The Case of the Golden Idol (黄金の偶像)

醜悪な陰謀劇を「穴埋め」で暴く

  • ジャンル: 推理アドベンチャー
  • 開発: Color Gray Games (ラトビア)

『Obra Dinn』の精神的後継作として名高いポイント&クリック・ミステリー。 18世紀を舞台に、呪われた「黄金の偶像」を巡る40年間の血塗られた歴史を追う。 プレイヤーは現場に残された単語(名前、動詞、名詞)を収集し、「誰が・誰を・何で・殺した」という文章の穴埋めを行うことで真相を解明する。 醜悪な政治家や詐欺師たちの表情、ドット絵ながら生々しい死体描写。そして、章が進むごとに点と点が繋がり、巨大な陰謀が浮かび上がる構成の妙は、ミステリー小説の読後感を遥かに凌駕する。

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3. Outer Wilds

宇宙の死まであと22分。知識だけが鍵となる

  • ジャンル: 宇宙探索アドベンチャー
  • 開発: Mobius Digital (アメリカ)

一見すると宇宙探索ゲームだが、その本質は極めて高度なミステリーである。 22分後に超新星爆発で滅びる太陽系。プレイヤーはタイムループを繰り返しながら、古代種族「Nomai」が遺した石碑を解読し、この宇宙の真理へと近づいていく。 アイテムや能力によるアンロックは一切ない。行けなかった場所に行けるようになるのは、プレイヤーが「行き方(知識)」を閃いた時だけだ。 すべての謎が氷解し、エンディングへと至る最後の22分間。そこで得られるカタルシスは、ゲーム史に残る体験と言っても過言ではない。

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4. Her Story

検索ワードが「真実」をあぶり出す

  • ジャンル: 検索型サスペンス
  • 開発: Sam Barlow (イギリス)

警察のデータベースに残された、ある女性の事情聴取映像。バラバラに保存された数百の短いクリップを閲覧し、事件の真相を探る。 システムは至ってシンプル。「検索窓に単語を打ち込む」だけだ。 映像の中で彼女が「屋根裏」と言えば、「屋根裏」で検索する。すると関連する新たな映像が見つかる。プレイヤーの語彙力とひらめきが、そのまま検索キーとなり、隠された事実を掘り起こしていく。 物語を「リニア(一直線)」ではなく「データベース」として提示した、ナラティブ表現の革命。

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5. Unheard ー罪の代弁ー

「音」だけを頼りに、犯行現場を透視する

  • ジャンル: 音声推理アドベンチャー
  • 開発: NEXT Studios (中国)

画面には、建物の見取り図と、丸いアイコン(人物)が表示されているだけ。 プレイヤーは「過去の音」を聞く能力を使い、犯行時刻の現場で何が起きていたのかを盗聴(ヒアリング)する。 「リビングで口論している間に、キッチンで誰かが毒を入れた音」など、同時多発的に進む会話を行き来し、誰が誰なのか、何をしたのかを特定する。 視覚情報がないからこそ、足音や衣擦れの音といった細部に意識が研ぎ澄まされる、没入感の高い聴覚ミステリー。

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6. Shadows of Doubt

プロシージャル生成された街で、ハードボイルドな探偵業を

  • ジャンル: 没入型探偵シム
  • 開発: ColePowered Games (イギリス)

SFノワールの街、住人、そして殺人事件までもがすべて「自動生成」される、野心的なサンドボックス探偵シム。 プレイヤーは完全な自由を与えられている。現場に残された指紋を採取し、電話帳で住所を調べ、監視カメラの映像をハッキングし、必要なら住居に不法侵入して日記を盗み見る。 決まった解法はない。地道な足取り捜査で犯人を追い詰めるプロセスは、まさに泥臭い私立探偵そのもの。無限に遊べる推理の箱庭。

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7. Paradise Killer

事実(ファクト)と真実(トゥルース)は違う。あなたが犯人を決める

  • ジャンル: オープンワールド捜査アドベンチャー
  • 開発: Kaizen Game Works (イギリス)

ヴェイパーウェイヴな異世界「パラダイス」で起きた密室殺人事件。 本作の最大の特徴は、「いつでも裁判を始められる」ことだ。証拠が不十分でも、プレイヤーが「こいつが犯人だ」と信じ、陪審員を説得できれば、それがこの世界の真実となる。 無数の証拠を集め、絶対的な真実を追求するもよし。状況証拠だけで強引に誰かを告発するもよし。 「推理とは、事実をどう構築(コンストラクト)するかである」という哲学を突きつける、極めてアナーキーな捜査ゲーム。

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8. The Painscreek Killings

誰もいない町、残された日記だけが語る

  • ジャンル: ウォーキングシミュレーター / 推理
  • 開発: EQ Studios (アメリカ)

廃村となった町「ペインスクリーク」を自由に歩き回り、かつて起きた未解決殺人事件を調査する。 ゲーム的なUIやヒント機能は排除されている。プレイヤーは実際にペンとノートを用意し、発見した日記の日付、人物関係、ロッカーの暗証番号などを自力で整理しなければならない。 膨大なテキストを読み込み、矛盾を見つけ出す作業は、ゲームというより「捜査資料の精読」に近い。それゆえに、真相にたどり着いた時の達成感は本物だ。

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9. Pentiment

歴史の奔流の中で、正義の意味を問う

  • ジャンル: 歴史ミステリーRPG
  • 開発: Obsidian Entertainment (アメリカ)

16世紀のバイエルン地方を舞台にした、中世写本風のアートスタイルが美しい歴史劇。 25年という長い歳月にわたる殺人事件を追う中で、プレイヤーの推理(告発)は、その後の村の運命や人間関係に不可逆な影響を与える。 「誰が犯人か」というパズル以上に、「誰を断罪すべきか」という倫理的な問いが重くのしかかる。当時の宗教観や社会情勢まで考慮しなければならない、大人のための歴史ミステリー。

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10. Scene Investigators

これはゲームではない。「捜査官」の採用試験だ

  • ジャンル: 現場検証型推理
  • 開発: EQ Studios (アメリカ)

『The Painscreek Killings』の開発元が送る、さらにストイックな推理ゲーム。 プレイヤーに与えられるのは、事件現場の状況と、数枚の捜査資料のみ。 「被害者が倒れていた位置」「グラスに残った口紅」「レシートの日付」。現場のあらゆるオブジェクトを観察し、犯行の動機から凶器、犯人までを演繹(えんえき)的に導き出す。 システムによる補助輪は一切ない。あなたの観察眼と論理的思考力だけが試される、ハードコアな推理試験。

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Indiebase編集部より

「犯人はヤス」と画面に表示されるのを待つ時代は終わった。 ここに挙げたゲームたちは、あなたをプレイヤーとしてではなく、一人の知性ある探偵として扱ってくれる。

メモ帳の用意はいいだろうか? 真実は、あなたの脳の中にしかない。

(文:Indiebase編集部)


次の「一生モノ」に出会うために
Indiebase Select | 編集部厳選:インディーゲーム傑作選
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本記事の画像引用について
本記事で使用しているゲーム画面およびアートワークの著作権は、各開発元・配信元に帰属します。
出典: Steam ストアページ

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