Indiebase編集部です。 「実写ゲーム(FMV: Full Motion Video)」というジャンルには、ゲーム史における長い歴史と、独特のロマンがある。 90年代の黎明期から脈々と受け継がれてきたこの表現手法は、現代のインディーシーンにおいて、「インタラクティブ・シネマ(遊べる映画)」として洗練された進化を遂げている。
CGがいかに進化しようとも、生身の俳優が見せる「瞳の揺らぎ」や、沈黙の間の「息遣い」が持つ情報の密度は圧倒的だ。 現代のFMV作品において、プレイヤーは単なる視聴者ではない。映像編集者となり、盗聴者となり、あるいは運命の観測者として、人間のドラマに深く介入することになる。
今回は、映画として鑑賞するだけでは味わえない、現実と虚構の境界線が溶け合うような没入感を持った傑作実写ゲームを5本紹介する。 コントローラーを握り、物語の「共犯者」になろう。
1. Late Shift (レイト・シフト)
映画館で上映された、ノンストップ・クライムサスペンス

- ジャンル: インタラクティブ・シネマ
- 開発: CtrlMovie (スイス/イギリス)
ロンドンの夜、警備員のアルバイト中に盗難事件に巻き込まれた主人公。 本作の特徴は、映像が一切途切れないことだ。選択肢が表示されている間も映画は進行し、決断が遅れれば「沈黙」を選んだことになる。 『シャーロック』等の脚本家が手掛けたストーリーは骨太で、ロンドンの地下社会を舞台にした逃亡劇はスリル満点。 「遊ぶ映画」という言葉がこれほど似合う作品はない。エンディングは7種類。あなたの選択が、彼の運命を決定する。
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2. Her Story
「検索」が嘘を暴く。FMVゲームの新たな可能性を切り拓いた金字塔

- ジャンル: 検索型ミステリー
- 開発: Sam Barlow (イギリス)
警察のデータベースに残された、ある女性の事情聴取映像。プレイヤーに与えられた武器は「検索窓」だけだ。 彼女の証言の中に現れる単語(例:「紅茶」「彼」「屋根裏」)を検索し、断片化された数百の短いクリップを閲覧していく。 時系列もバラバラな映像を繋ぎ合わせ、彼女が「いつ、どこで、どんな嘘をついたか」を推理するプロセスは、探偵の実務そのもの。 女優ヴィヴァ・セイフェルトの鬼気迫る演技は、数秒のクリップでも見る者を戦慄させる。このジャンルを語る上で避けて通れない原点。
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3. The Shapeshifting Detective
容疑者に「変身」して、本音を聞き出せ

- ジャンル: 推理アドベンチャー
- 開発: D’Avekki Studios (イギリス)
田舎町で起きた殺人事件。探偵であるプレイヤーの能力は「任意の人間に変身できる」ことだ。 被害者の友人になりすまして容疑者に話しかければ、探偵には見せない素顔や、隠された秘密をペラペラと喋り出すかもしれない。 誰に変身し、誰に話を聞くか。その組み合わせによって得られる情報が変化する。 「他人の顔を被る」という背徳感と、役者たちが演じ分ける「変身された自分」の演技力が見どころ。
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4. The Complex
閉鎖された研究所、迫りくる生物兵器と政治

- ジャンル: SFサスペンス
- 開発: Wales Interactive (イギリス)
ロンドンで起きたバイオテロ。二人の科学者が、ハイテク研究所の密室に閉じ込められる。 酸素は残りわずか、外には武装集団。極限状態での脱出劇を描くが、本作の面白さは「人間関係(好感度)」が結末を左右する点だ。 相棒を信頼するか、裏切るか。外部との通信で誰を頼るか。 性格診断システムも搭載されており、プレイ後の分析結果も楽しめる。SFスリラー映画の緊迫感を、プレイヤー自身の決断で楽しむ一本。
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5. Telling Lies
その「嘘」は、4人の人生を破滅させる

- ジャンル: 検索型サスペンス
- 開発: Sam Barlow (イギリス)
『Her Story』のサム・バーロウによる野心作。 NSA(国家安全保障局)から流出した、4人の人物の極秘映像データベース。 今回は検索対象が4人に増え、それぞれの視点、それぞれの場所での会話が複雑に絡み合う。 ある男が妻についた嘘が、別の映像では愛人に語る真実と繋がる。膨大な映像の海から、決定的な「裏切り」の瞬間を見つけ出した時の衝撃は凄まじい。 覗き見(ヴォイエリズム)の罪悪感と快感に溺れる、大人のためのドラマ。
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■ Indiebase編集部より
実写ゲームの魅力は、プレイヤーが物語の「共犯者」になれることだ。 画面の中の彼らは、あなたの指示を待ち、あなたの選択によって傷つき、あるいは救われる。
もし今夜、ただ映画を観るだけでは物足りない気分なら。 これらのゲームを起動し、監督の椅子に座ってみてはいかがだろうか。
(文:Indiebase編集部)
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本記事の画像引用について
本記事で使用しているゲーム画面およびアートワークの著作権は、各開発元・配信元に帰属します。
出典: Steam ストアページ
