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敵もいない、納期もない。疲れた心に処方する「Cozy Game(コージーゲーム)」10選

Indiebase編集部です。 今年も一年、お疲れ様でした。 現実世界は常に競争だ。締め切りに追われ、他人の評価を気にし、SNSの通知に急かされる。 せめてゲームの中くらいは、誰とも戦わず、何にも追われず、ただ「そこにいる」ことだけを許されたい。

そんな願いに応えるのが、近年急速に支持を集めている「Cozy Game(コージーゲーム)」というジャンルだ。 ここには敵もいなければ、ゲームオーバーもない。効率を求める必要も、高得点を狙う必要もない。 あるのは、心地よい音楽と、温かい飲み物と、あなたを肯定してくれる優しい世界だけだ。

今回は、疲弊した心にじわりと効く、「デジタルデトックス」としてのインディーゲームを10本処方する。 ヘッドホンをつけて、深呼吸をして、優しい世界へ逃避しよう。


1. Unpacking (アンパッキング)

荷ほどきをする。ただそれだけの行為が、なぜこんなに愛おしいのか

  • ジャンル: 禅パズル
  • 開発: Witch Beam (オーストラリア)

段ボールから荷物を取り出し、新居の棚に並べていく。説明だけ聞けば「作業」だが、これは極上の「物語」だ。 子供部屋、学生寮、初めての同棲、そして別れ。 持ち物の変化(増えていく本、捨てられないぬいぐるみ、隠された元恋人の写真)を通して、顔の見えない主人公の人生が手に取るように伝わってくる。 好きな場所に物を置く時の心地よい効果音(ASMR)と、他人の人生を整理する静かな充足感。クリアする頃には、自分の部屋も少し片付けたくなるかもしれない。

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2. A Short Hike

頂上へ行かなくてもいい。寄り道こそが目的の登山

  • ジャンル: 探索アドベンチャー
  • 開発: adamgryu (カナダ)

都会の喧騒を離れ、自然豊かな島へやってきた鳥の少女。目的は「携帯の電波が入る山頂へ行くこと」だけ。 しかし、急ぐ必要は全くない。釣り糸を垂らし、浜辺を走り、他のキャンパーと無駄話をし、上昇気流に乗って空を滑空する。 DS時代のゲームを思わせるローポリゴンの温かいグラフィックと、どこまでも自由な操作感。1〜2時間で終わる小さな冒険だが、そこで得られる開放感は、本物のハイキングに匹敵する。

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3. Coffee Talk

聞き上手なバリスタになり、雨音とLo-Fiヒップホップに浸る

  • ジャンル: ノベル / カフェシミュレーター
  • 開発: Toge Productions (インドネシア)

夜更けのシアトル。人間だけでなく、エルフやオークが暮らすこの街の片隅で、深夜営業のカフェを開く。 プレイヤーの仕事は、客の話を聞き、彼らが望む(あるいは必要としている)温かい一杯を提供することだ。 大きな事件は起きない。種族間の悩み、仕事の愚痴、恋の悩み。 雨が窓を叩く音と、チルなBGMをバックに、他人の人生に少しだけ関わる距離感。眠れない夜に、ホットミルク片手に遊びたい一本。

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4. PowerWash Simulator

こびりついた汚れと共に、心のノイズも洗い流す

  • ジャンル: 高圧洗浄シミュレーション
  • 開発: FuturLab (イギリス)

ただひたすらに、高圧洗浄機で汚れを吹き飛ばす。 泥だらけのバン、苔むした庭、汚れた遊具。それらが水流によって本来の色を取り戻していく「ピカピカになる瞬間」は、脳に直接快楽物質を送り込んでくる。 制限時間もなければ、洗剤のコストを気にする必要もない。 「シャーッ」というホワイトノイズのような水音を聞きながら、無心で汚れを消していく作業は、現代における瞑想(マインドフルネス)そのものだ。

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5. Townscaper

ゴールもリソースもない。海の上に「ぽこぽこ」と街を浮かべる

  • ジャンル: 街づくりおもちゃ
  • 開発: Oskar Stålberg (スウェーデン)

これはゲームというより「デジタルなおもちゃ」だ。 海の上をクリックする。すると道ができる。もう一度クリックすると家になる。重ねると塔になり、繋げると路地ができる。 資源管理も、住民の要望もない。アルゴリズムが自動的に美しい装飾(ハトが止まったり、洗濯物が干されたり)を生成してくれる。 ただ気持ちの良い音と共にクリックするだけで、ジブリ映画のような海上都市が出来上がる。画面を眺めているだけで心が整う、魔法のようなツール。

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6. Stardew Valley

疲れたら帰っておいで。いつだって変わらない田舎町へ

  • ジャンル: 牧場シミュレーション
  • 開発: ConcernedApe (アメリカ)

ブラック企業で心身を病んだ主人公が、祖父の古い牧場に移住する。 畑を耕し、釣りをし、住人と交流する。スローライフ・ゲームの金字塔だが、本作の優しさは「強制されない」ことにある。 必死に稼いで農場を拡大してもいいし、一日中海を眺めて過ごしてもいい。 誰もあなたを責めない。季節は巡り、作物は育つ。デジタル空間に「帰れる場所」があるという安心感が、世界中のプレイヤーを救い続けている。

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7. A Little to the Left

「なんとなく気持ち悪い」を、「ピッタリ」にする快感

  • ジャンル: お片付けパズル
  • 開発: Max Inferno (カナダ)

散らかった書類、バラバラの鉛筆、傾いた額縁。 それらを「大きさ順に並べる」「色を揃える」「真っ直ぐにする」。日常の些細な「整えたい欲求」を満たしてくれるパズルゲーム。 正解は一つではないことも多く、自分の感覚で納得できればそれが答えだ。 時折現れるイタズラ猫が作業を邪魔してくるが、それすらも愛おしい。几帳面な人にとっては、見る精神安定剤となるだろう。

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8. Dorfromantik (ドロフロマンティック)

六角形のタイルが紡ぐ、終わりのない牧歌的な風景

  • ジャンル: パズル / 街づくり
  • 開発: Toukana Interactive (ドイツ)

難しい戦略も、敵の侵攻もない。あるのは手元の「タイルの山」だけだ。 森、家、畑、川。六角形のパネルをくるくると回し、地図を広げていく。 森と森を繋げれば木々がざわめき、線路を繋げれば汽車が走り出す。 ただ「綺麗に繋がった」時の気持ちよさを求めて配置しているうちに、気づけば画面いっぱいに美しい田園風景が広がっている。 優しいピアノの旋律と、カチリとピースがハマる音。 点数を競うこともできるが、クリエイティブモードで無限に広がる自分だけの世界を作る時間が、何よりの精神安定剤になる。

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9. Terra Nil (テラ・ニル)

搾取するのではなく、自然を「還す」ための街づくり

  • ジャンル: 環境回復ストラテジー
  • 開発: Free Lives (南アフリカ)

通常の街づくりゲームとは逆だ。荒廃した土地に自然を蘇らせ、最後は人工物をすべて撤去して立ち去る。 風力発電で電力を確保し、土壌を浄化し、緑を植え、動物たちを呼び戻す。 かつての死の大地が、花々が咲き乱れ、川が流れる楽園へと変わっていくビジュアルは圧巻。 「何も残さない」という美学。人間がいなくなった後の美しい自然を眺めるエンドロールは、深い癒やしを与えてくれる。

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10. Abzû

酸素の心配はいらない。青い海と一体になる瞑想

  • ジャンル: 水中探索アドベンチャー
  • 開発: Giant Squid (アメリカ)

『風ノ旅ビト』のアートディレクターが手掛けた、海中探索ゲーム。 ゲーム的なUIや酸素ゲージは存在しない。ただ優雅に泳ぎ、イルカの群れに掴まり、巨大なクジラと共に深海へ潜る。 何千匹もの魚が群れをなして泳ぐ(スイミーのような)表現技術は、芸術の域に達している。 言葉はなく、オーケストラの音楽と圧倒的な色彩だけが物語を語る。プレイするアクアリウムであり、魂の洗濯機。

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■ Indiebase編集部より

「頑張ること」は尊いが、「休むこと」はもっと尊い。 これらのゲームは、あなたに何も要求しない。ただ、あなたがそこにいて、楽しんでくれることだけを待っている。

温かいココアでも淹れて、自分を甘やかす時間を始めよう。 世界を救うのは、元気が戻ってからで十分だ。

(文:Indiebase編集部)


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本記事の画像引用について
本記事で使用しているゲーム画面およびアートワークの著作権は、各開発元・配信元に帰属します。
出典: Steam ストアページ

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