Indiebase編集部です。 混沌とした世界に秩序をもたらすこと。それがストラテジーゲームの本質だ。 散らばる資源を回収し、加工ラインを組み、住人の不満を数字として処理する。
そこに感情が入り込む余地はない。あるのは「効率化」という名の絶対的な正義だけだ。 ボトルネックが解消され、工場が脈打つように稼働し始めた時、我々の脳内には達成感という名の麻薬が分泌される。 「あと5分でこのラインが完成する」——そう呟いて迎える朝は、なぜこれほどまでに清々しく、そして絶望的なのだろうか。
今回は、一度足を踏み入れたら二度と戻れない、自動化とコロニー管理の「沼」に沈むための10本を選出した。 ようこそ、終わりのない最適化の旅へ。
1. Factorio
「工場は広がらねばならない」産業中毒者の聖書

- ジャンル: 工場自動化シミュレーション
- 開発: Wube Software LTD. (チェコ)
このジャンルを語る上で、本作を避けて通ることは許されない。 不時着した未知の惑星で、手掘りの採掘から始め、やがてはロケットを飛ばすまでの巨大な産業インフラを築き上げる。 コンベアベルトのスパゲッティ、列車のダイヤグラム設定、そしてドローンによる物流網。 「鉄板が足りない」→「炉を増設する」→「石炭が足りない」→「鉱脈を開発する」……。無限に連鎖するタスクと、それを自動化で解決した時の一瞬の静寂。人類が持つ「改善欲求」を極限までハックした、時間泥棒の王。
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2. RimWorld
極限環境が生む、残酷でドラマチックな人間模様

- ジャンル: SFコロニーシミュレーション
- 開発: Ludeon Studios
宇宙船の事故で辺境の惑星に投げ出された生存者たちを指揮し、コロニーを運営する。 本作の本質は「ストーリーテリング」にある。入植者たちはそれぞれ独自の性格、特技、そして欠点(放火魔、薬物依存など)を持っている。 食糧難で人肉を食べるか否かの決断、襲撃者によるコロニーの壊滅、そして狂気。 AIストーリーテラーが生成する予測不能な悲劇と、それを乗り越えた先に生まれる愛着。効率だけでは割り切れない「人間」という不確定要素を管理する苦悩と喜びがここにある。
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3. Satisfactory
垂直に伸びる工場。3D空間で味わう「FICSIT」社の社畜体験

- ジャンル: 一人称視点工場建設
- 開発: Coffee Stain Studios (スウェーデン)
『Factorio』を3D化し、縦軸の概念を加えた作品。 未知の惑星を探索し、巨大企業FICSIT社のためにひたすら資源を納品する。 一人称視点で巨大なコンベアベルトが頭上を走り、重機が駆動する様を見上げる没入感は圧倒的だ。 敵の襲撃による圧力は少なく、ひたすらに「美しいライン構築」に没頭できる禅(Zen)のようなプレイ感。整然と並んだ精錬所が吐き出す煙を眺めるだけで、数時間が経過する。
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4. Frostpunk
凍てつく世界で、「人間性」と「生存」を天秤にかける

- ジャンル: 社会サバイバルストラテジー
- 開発: 11 bit studios (ポーランド)
氷河期が訪れた世界。人類最後の都市を統治し、蒸気ジェネレーターの熱を守り抜く。 本作が突きつけるのは、常に苦渋の二者択一だ。労働力が足りない時、子供を働かせる(児童労働)か? 食料が尽きた時、スープを水増しするか? 効率を優先すれば不満が高まり、人道を優先すれば都市が死ぬ。極寒の寒さと、指導者としての孤独な重圧。単なる数字遊びではない、倫理観を問うマネジメント体験。
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5. Ratopia
「物理」ではなく「経済」を回せ。ネズミたちの地下国家

- ジャンル: 経済戦略サバイバル / サンドボックス
- 開発: Cassel Games (韓国)
地下でコロニーを作るという点では『Oxygen Not Included』に近いが、本作が管理するのは「酸素」ではなく「経済(カネ)」だ。 プレイヤーは女王となり、ネズミの市民たちに仕事を与え、給料を払い、税金を徴収する。 トイレを使うのにも金がかかり、娯楽施設で散財させることで経済を循環させる。 貧富の差が広がれば暴動が起き、国庫が尽きれば国が滅ぶ。 可愛い見た目とは裏腹に、マクロ経済学と都市計画のバランス感覚が問われる、一風変わった社会実験シミュレーション。
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6. Against the Storm
雨がすべてを洗い流す前に。ローグライク×シティビルダーの革命

- ジャンル: ローグライク・シティビルダー
- 開発: Eremite Games (ポーランド)
「街づくりゲームは、完成した後の維持管理が退屈」というジャンルの弱点を克服した傑作。 絶え間ない嵐が世界を滅ぼす世界で、プレイヤーは女王のために各地に入植地を作っては放棄し、次の土地へ向かう。 1プレイは1時間程度。毎回異なる資源、異なる種族(人間、ビーバー、リザード等)、異なる設計図で、即興的な最適解を構築し続ける。 「作り始めの楽しさ」だけを濃縮還元し、永遠に遊べるループ構造を作り出した発明的なタイトル。
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7. The Planet Crafter
不毛の惑星を「緑化」せよ。数字が増える快感の極致

- ジャンル: オープンワールド宇宙サバイバル
- 開発: Miju Games (フランス)
『Dyson Sphere Program』のように宇宙規模のロマンを感じたいが、複雑な物流ラインよりも「変化」を楽しみたいならこれだ。 最初は赤茶けた荒野広がる死の惑星。そこにドリルを設置し、ヒーターを置き、テラフォーミング指数(Ti)を上げていく。 空が青くなり、雨が降り、湖ができ、やがて緑が芽吹く。 この劇的な環境変化を一人称視点で体験できるのが本作の醍醐味だ。 「酸素濃度よし、気圧よし、次は昆虫の発生だ」。惑星ひとつを丸ごと生命の星に変える、神のような達成感が味わえる。
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8. Timberborn
人類滅亡後の覇者は「ビーバー」だ。水を操る治水シム

- ジャンル: コロニービルディング
- 開発: Mechanistry (ポーランド)
主役は高い知能を持ったビーバーたち。 彼らの最大の武器は、木材加工技術と「治水」だ。ダムを作り、水路を引き、水車で動力を生み出す。 定期的に訪れる「干ばつ」を生き残るため、緑豊かな土地を維持できるかはプレイヤーの治水手腕にかかっている。 3D空間を活かした垂直方向への建築(高層マンションならぬ高層ロッジ)も特徴的。木の温かみと、過酷な水管理シミュレーションのギャップが魅力。
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9. Kenshi
最弱から始まる、オープンワールドの「人生」シミュレーション

- ジャンル: サンドボックスRPG / RTS
- 開発: Lo-Fi Games (イギリス)
「選ばれし勇者」ではない。あなたは荒野に放り出された、ただの「弱者」だ。 野盗に襲われれば即死し、奴隷商人に捕まれば一生労働に従事させられる。 しかし、生き延びさえすれば何にでもなれる。 仲間を集めて巨大な要塞都市(コロニー)を建設し、農作物を育てて商売をしてもいいし、最強の軍団を作って国家を転覆させてもいい。 RTS(拠点建設)とRPG(育成)が融合した、自由すぎる傑作。 四肢が欠損する過酷な世界で、自分だけの生存戦略を編み出す没入感は、他のどのゲームとも異なる体験だ。
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10. Shapez 2
資源も敵もいない。あるのは純粋な「形」と「効率」だけ

- ジャンル: 抽象化工場シミュレーション
- 開発: tobspr Games (ドイツ)
工場ゲーから「移動」や「資源枯渇」といったストレス要因を排除し、自動化の楽しさだけを抽出した作品。 やることは、幾何学的な図形を切断、回転、着色、積層して、指定された形を作って納品するだけ。 しかし、求められる図形が複雑になるにつれ、ラインは幾何学模様のような美しさと複雑さを増していく。 広大な宇宙空間に浮かぶ、自分だけの巨大な計算機を作るような感覚。思考の整理整頓に最適な、デジタルの禅庭園。
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Indiebase編集部より
これらのゲームに「クリア」はあっても「終わり」はない。 改善の余地がある限り、ラインは止まらないからだ。
もしあなたが、乱雑に散らかった部屋よりも、整然と整理されたデスクトップに美しさを感じる人間なら、これらの沼に足を踏み入れる資格がある。 ただし、失われる睡眠時間については、編集部は一切の責任を負わない。
(文:Indiebase編集部)
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本記事の画像引用について
本記事で使用しているゲーム画面およびアートワークの著作権は、各開発元・配信元に帰属します。
出典: Steam ストアページ
