Indiebase編集部です。 現代人にとって最も希少なリソースは「時間」だ。 しかし、その貴重な資産を喜んで投げ出したくなる瞬間がある。優れた「ローグライク」ゲームに出会ってしまった時だ。
ランダム生成されるマップ、一度死んだら全てを失うパーマデス、そして死ぬたびに積み重なるプレイヤー自身の経験と知識。 これらの要素が完璧に噛み合った時、ゲームはただの娯楽を超え、脳髄を直接刺激する「電子ドラッグ」へと変貌する。 「あと1回(One more run)」という言葉は、ゲーマーにとって最も守られない誓いだ。
今回は、プレイ開始ボタンを押したが最後、気づけば空が白んでいるような「極めて危険な」中毒性を持つローグライクゲームを10本選出した。 明日が休日の夜にのみ、インストールすることを強く推奨する。
1. Balatro
ポーカーのルールを「破壊」する、禁断のギャンブル

- ジャンル: ポーカー・ローグライク
- 開発: LocalThunk (カナダ)
2024年のインディー界を席巻した怪作。やることはポーカーだが、イカサマ上等だ。 「ジョーカー」カードを入手することで、「スペードの配当倍率を+4倍」「絵札が配られるたびに再抽選」といった具合に、ルールそのものを自分に都合よく改変できる。 カードを出すたびに桁が増えていくスコア、パチンコ台のように煌めく演出、そしてチップが積み上がる心地よいSE。ギャンブル依存症の脳内メカニズムを安全に(しかし強烈に)ハックする、計算され尽くしたデザイン。
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2. Vampire Survivors
数百円で買える、純度100%のドーパミン

- ジャンル: 逆弾幕サバイバル
- 開発: poncle (イギリス)
移動以外の操作は不要。自動攻撃で群がる数千の敵をなぎ倒し、経験値の宝石を回収する。ただそれだけのゲームが、なぜこれほど面白いのか。 その正体は、緻密に調整された「報酬系への過剰刺激」だ。レベルアップ時のファンファーレ、宝箱が開く瞬間の演出、画面を埋め尽くす派手なエフェクト。 プレイヤーを「全能感」の奔流に溺れさせることに特化した本作は、ゲームというよりは、極めて洗練されたデジタルな刺激装置に近い。
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3. Slay the Spire
デッキ構築型ローグライクの「聖書」

- ジャンル: デッキ構築ローグライク
- 開発: Mega Crit (アメリカ)
無数のフォロワーを生んだ金字塔だが、その完成度はいまだ頂点にある。 攻撃、防御、バフ。手持ちのカードで敵の行動に対応する戦略性と、ランダムに入手するレリック(遺物)によるシナジー形成。 「今回は毒デッキで行こう」「圧縮デッキが完成した」——そのビルド構築の過程があまりに楽しく、塔の頂上へ到達してもなお、即座に次の登頂を開始してしまう。バランス調整の妙技が生んだ、無限に遊べる数理パズル。
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4. Hades
「死」さえも物語の一部に変えた革命児

- ジャンル: アクション・ローグライク
- 開発: Supergiant Games (アメリカ)
ギリシャ神話の冥界を舞台に、王子ザグレウスが家出(脱出)を試みる。 本作の発明は、ローグライクの「死んでやり直し」というシステムを、物語の進行装置として組み込んだ点だ。死んで実家に戻るたびに、父ハデスや住人たちとの会話が変化し、新たな事実が明かされる。 「死ぬことが悔しい」ではなく「死ぬとストーリーが進むから楽しみ」というポジティブなループを生み出した。スタイリッシュなアクションと合わせ、やめ時を完全に見失う一作。続編『II』と共に、冥界からの脱出劇は今なお多くのゲーマーを虜にしている。
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5. Dead Cells
「フロー状態」へ誘う、ハイスピードな死と再生

- ジャンル: ローグヴァニア(ローグライク×メトロイドヴァニア)
- 開発: Motion Twin (フランス)
探索型アクションの広がりと、ローグライクの緊張感を融合させた作品。 特筆すべきはアクションの手触りだ。サクサク動く操作性、敵を倒した時の爽快なヒットストップ、流れるような移動。 武器やスキルの組み合わせ(ビルド)を試行錯誤しながら、ハイスピードでダンジョンを駆け抜ける感覚は、スポーツの「ゾーン」に入ったような没入感をもたらす。「あと1ラン」のテンポがあまりに良すぎるため、中毒死には注意が必要だ。
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6. Noita
物理演算されたピクセルが招く、美しいカオス

- ジャンル: 魔法アクション・ローグライク
- 開発: Nolla Games (フィンランド)
「全てのピクセルが物理シミュレーションされている」という狂気の設定。 魔法で酸の雨を降らせたり、可燃性ガスを充満させて爆破したり。環境そのものを利用して戦うのだが、その自由度はしばしばプレイヤー自身に牙を剥く。 自分が放った魔法で大火事になり自滅する——そんな予期せぬアクシデント(事故)さえもが面白い。知識と閃きが生存率に直結する、化学実験のようなローグライク。
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7. Loop Hero
RPGを「解体」し、管理職の視点で再構築する

- ジャンル: デッキ構築 / オートバトル
- 開発: Four Quarters (ロシア)
プレイヤーは勇者を操作しない。勇者は勝手にループする道を歩き、勝手に戦う。 プレイヤーの役割は、何もない道に「森」や「山」、「吸血鬼の館」といったカードを配置し、勇者が強くなるための「環境」を作ることだ。 敵を配置しすぎれば勇者は死ぬが、少なすぎれば装備がドロップせず強くならない。このリソース管理のジレンマと、徐々に地図が埋まっていく快感は、放置ゲームとRTSの最も美味しい部分を煮詰めたような味がする。
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8. Risk of Rain 2
時間が経つほど敵が強くなる、インフレの狂宴

- ジャンル: 3Dアクション・シューター
- 開発: Hopoo Games (アメリカ)
2Dから3Dへの移行に成功した稀有な例。 本作最大の特徴は「時間経過とともに難易度が上昇する」システムだ。ゆっくり探索すればアイテムは集まるが、敵も手に負えないほど強くなる。 このタイムリミットが生む焦燥感と、アイテムが重複して発動した時の画面を埋め尽くすカオスなエフェクト。後半の「処理落ちすら心地よい」インフレ火力は、一度味わうと病みつきになる。
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9. Darkest Dungeon
英雄たちの「ストレス」を管理する、胃の痛い職場

- ジャンル: ターン制RPG
- 開発: Red Hook Studios (カナダ)
冒険者を雇い、正気度が削られるダンジョンへ送り込む。 HPだけでなく「ストレス」の管理が重要で、恐怖が限界を超えた冒険者はパニックに陥り、命令を無視し、味方を罵倒し始める。 理不尽なクリティカル、恒久的な死(ロスト)。常にギリギリの判断を迫られる緊張感は凄まじいが、だからこそ、絶望的な状況を覆して生還した時のカタルシスは何物にも代えがたい。
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10. The Binding of Isaac: Repentance
無限の拡張を続ける、ローグライクの深淵

- ジャンル: 見下ろし型シューター
- 開発: Edmund McMillen / Nicalis (アメリカ)
ローグライクブームの火付け役にして、今なお拡張され続ける怪物。 涙で戦う少年アイザックの、グロテスクで悲劇的な物語。数百種類のアイテム、無数のシナジー、隠しキャラ、隠しルート。 そのボリュームは底が見えず、1000時間遊んでも新しい発見があると言われるほど。アイテムの組み合わせによる予測不可能な変化こそがローグライクの醍醐味であることを、世界に知らしめた原点にして頂点。
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Indiebase編集部より
ローグライクとは、失敗を許容する遊びだ。 「Game Over」の文字は終わりではなく、次の挑戦への招待状に過ぎない。 知識を蓄え、運を味方につけ、前回よりも一歩先へ進めた時の喜び。その純粋な成長体験こそが、我々を夜更かしへと駆り立てる。
さあ、もう一度だけ。 その言葉を信じて、再びダンジョンへと飛び込もう。
(文:Indiebase編集部)
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本記事の画像引用について
本記事で使用しているゲーム画面およびアートワークの著作権は、各開発元・配信元に帰属します。
出典: Steam ストアページ
