Indiebase編集部です。 インディーゲームのストアページを開けば、そこは「メトロイドヴァニア」で溢れかえっている。 『メトロイド』と『キャッスルヴァニア(悪魔城ドラキュラ)』。2つの偉大な古典に由来するこのジャンルは、なぜこれほどまでに開発者を惹きつけ、プレイヤーを熱狂させるのか。
その本質は、「未知への恐怖」が「支配の快感」へと反転するプロセスにある。 最初は到底届かなかった高台。開かない扉。圧倒的な強敵。 しかし、二段ジャンプやダッシュといった「能力」を手に入れた瞬間、それまで障壁だった地形は、ただの通過点へと成り下がる。 世界が広がり、自らの庭のように自由に駆け回れるようになる全能感。これこそが、我々が地図を埋める手を止められない理由だ。
今回は、数ある探索型アクションの中から、ジャンルの歴史を更新した傑作を10本選出した。 2025年の最新作から、今なお色褪せないレジェンドまで。メトロイドヴァニアを語る上で避けては通れない「必修科目」たちだ。
1. Hollow Knight (ホロウナイト)
ムシたちの滅びゆく王国、その哀しくも美しい深淵

- ジャンル: 2Dアクション / 探索
- 開発: Team Cherry (オーストラリア)
もはや説明不要の金字塔。滅びた地下王国「ハロウネスト」を探索する本作は、ソウルライクな死にゲー要素と、広大な探索要素を完璧なバランスで融合させた。 特筆すべきは、そのレベルデザインの有機さだ。新たな能力を得て以前のエリアに戻ると、そこには必ず新しい発見やショートカットが用意されている。 手書きアニメーションの滑らかさ、クリストファー・ラーキンによる荘厳な劇伴。価格以上の圧倒的なボリュームも含め、現代メトロイドヴァニアの基準(バー)を極限まで引き上げた罪深い一作。
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2. ENDER LILIES: Quietus of the Knights
少女と騎士、滅びの雨が紡ぐ「死」の美学

- ジャンル: 2DアクションRPG
- 開発: Live Wire / Adglobe (日本)
「死の雨」によって滅びた果ての国。不死の騎士たちを使役(スタンド化)して戦う少女リリィの物語。 本作が評価される理由は、過酷な世界観と相反するような、ピアノとストリングスを基調としたMiliによる儚い音楽と、退廃美に満ちたビジュアルにある。 アクション面では、回避とスキルの組み合わせによる自由度が高く、高難易度ながらストレスを感じさせない。日本のインディーシーンが生んだ、ダークファンタジーの傑作。
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3. Animal Well
戦わない。ただ、井戸の底に潜む「秘密」を暴く

- ジャンル: パズル / 探索
- 開発: Shared Memory (アメリカ)
2024年の話題をさらった異色作。戦闘要素はほぼ皆無。プレイヤーは小さな種のような生物となり、薄暗い井戸の中を探索する。 本作のマップは、アクションの舞台というよりは、巨大なパズルボックスそのものだ。ヨーヨーやフリスビーといった玩具のようなアイテムを駆使し、物理演算を利用して道を切り開く。 画面のピクセル単位、背景のノイズにまで隠された謎の数々は、プレイヤーの観察眼を極限まで試してくる。探索の喜びを純粋培養したような体験。
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4. Nine Sols (ナインソール)
「道教×サイバーパンク」で描く、弾き(パリィ)の極致

- ジャンル: 2Dアクション(Sekiro-lite)
- 開発: Red Candle Games (台湾)
『返校』や『還願』で知られる台湾のスタジオが放つ、意欲的なアクション。 道教の神話とサイバーパンクSFを融合させた「タオ・パンク」の世界観もさることながら、白眉はその戦闘システムだ。『SEKIRO』の影響を色濃く受けた「パリィ」主体の攻防は、2Dアクション史上屈指の緊張と快感をもたらす。 手書きアニメーションで描かれるスタイリッシュな暴力と、重厚なSFストーリー。アクションに自信のあるプレイヤーへの挑戦状。
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5. Blasphemous (ブラスフェマス)
異端と贖罪。スペイン宗教画のような悪夢

- ジャンル: 2Dアクション / ソウルライク
- 開発: The Game Kitchen (スペイン)
スペインのセビリア地方に伝わるカトリックの伝承や図像学を、グロテスクかつ荘厳なダークファンタジーへと昇華させた作品。 ドット絵で描かれる処刑、異形、そして奇跡。そのビジュアルインパクトは強烈だが、ゲームプレイは硬派な探索アクションとして堅実に作られている。 パリィと回避を駆使し、重い一撃を叩き込む戦闘は重量感抜群。世界観の「濃さ」に溺れたいなら、これ以上の選択肢はない。続編『2』も傑作。
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6. Ori and the Will of the Wisps
「流れるような移動」が生む、アクションのフロー体験

- ジャンル: プラットフォーム・アクション
- 開発: Moon Studios (オーストリア)
『Ori and the Blind Forest』の続編。前作で課題だった戦闘システムを大幅に改善し、探索型アクションとしての完成度を極めた。 本作の魅力は、なんといっても「移動」の気持ちよさだ。空中ダッシュ、グラップリング、敵を踏み台にした跳躍。それらを組み合わせ、一度も地面に着かずにマップを高速で駆け抜ける「フロー状態」は、他のゲームでは味わえない快楽物質を脳内に分泌させる。 ディズニー映画のような圧倒的な映像美と、涙なしには見られない物語も健在。
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7. Bloodstained: Ritual of the Night
「本家」が示した、イガヴァニアの正統進化

- ジャンル: ゴシックホラー・アクション
- 開発: ArtPlay (日本)
『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』を生み出した五十嵐孝司氏(IGA)による、精神的続編。 城を探索し、敵の魂(シャード)を取り込んで能力を拡張していくシステムは、まさに「あの頃」の正当進化系だ。 3Dグラフィックになったことで演出の幅が広がりつつも、操作感は2Dのキビキビとした手触りを維持している。無数の武器、アイテム収集、料理作成など、寄り道要素も膨大。ジャンルの生みの親としての矜持を感じる一作。
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8. Salt and Sanctuary
2D版「ソウル」を定義した、荒削りな先駆者

- ジャンル: 2DアクションRPG
- 開発: Ska Studios (アメリカ)
インディー界に「2Dソウルライク」というサブジャンルを定着させた功労者。 陰鬱な島、スタミナ管理が重要な戦闘、死んだ場所に経験値を落とすシステム。フロム・ソフトウェア作品へのリスペクトを隠さない作りだが、それをサイドビューの探索アクションに落とし込む手腕は見事だった。 手描きの荒々しいグラフィックと、理不尽すれすれの難易度。その粗削りな部分も含めて愛される、カルト的な名作。
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9. Touhou Luna Nights
「時間を止める」ギミックが織りなす、パズルのような弾幕戦

- ジャンル: 2D探索アクション
- 開発: Team Ladybug (日本)
「東方Project」の二次創作ゲームだが、原作を知らなくてもアクションゲーム好きなら遊ぶべき傑作。 主人公・十六夜咲夜の能力である「時間停止」を、探索と戦闘のコアメカニクスに据えている。時間を止めて水の上を歩いたり、止まった時間の中でナイフを配置して一斉に攻撃したり。 美しいドット絵と、なめらかな操作性。探索型アクションとしては短めだが、密度の濃さと爽快感は群を抜いている。
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10. La-Mulana 2 (ラ・ムラーナ2)
人類には早すぎる? 考古学者を殺しにくる遺跡

- ジャンル: 遺跡探検考古学アクション
- 開発: NIGORO (日本)
最後に紹介するのは、最も「人を選ぶ」作品だ。 広大な遺跡「イグ・ラーナ」を探索する本作において、最大の敵はモンスターではなく「謎解き」である。ヒントは遺跡内の石碑や背景に散りばめられており、メモ必須、脳みそフル回転の推理が求められる。 アクションの難易度も高いが、自力で謎を解き明かした時のカタルシスは、他のどのゲームとも比較できない。真の冒険を求めるチャレンジャーへ。
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Indiebase編集部より
地図を埋める。 それは単なる作業ではない。未知の領域を自らの足で踏破し、不可解だった世界を理解可能なものへと書き換えていく、知的な征服行為だ。
この10本は、あなたの数時間を、あるいは数十時間を奪うかもしれない。 だが、埋め尽くされた地図を見返した時、そこには費やした時間以上の充足感が残っているはずだ。
(文:Indiebase編集部)
次の「一生モノ」に出会うために
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本記事の画像引用について
本記事で使用しているゲーム画面およびアートワークの著作権は、各開発元・配信元に帰属します。
出典: Steam ストアページ
