50年にわたりアメリカの魂を歌い続けてきたブルース・スプリングスティーン。その世界の頂点に立つ直前、彼が経験した孤独と創造の原点に迫る伝記映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』(原題: Springsteen: Deliver Me from Nowhere)が、現在大ヒット上映中だ。
わずか4トラックの録音機が捉えた「本当の声」
本作が描くのは、スプリングスティーンが世界的な成功作『Born in the U.S.A.』を生み出す直前の、極めて内省的な時期だ。彼は、成功の重圧と自身の過去に押し潰されそうになりながら、わずか4トラックの録音機を前に、たった一人で静かに歌いはじめた。
ヒットチャートや栄光を求めず、ただ心の奥底から掘り出した「本当の声」を刻み込んだこの制作プロセスは、商業的なロックヒーローの裏側にある、普遍的な人間の孤独と痛みを映し出す。このパーソナルでインディー的な制作環境こそが、彼の魂の根源的な旅路を物語っている。

音楽映画の枠を超えた、魂の深掘り
主演を務めるのは、エミー賞受賞俳優のジェレミー・アレン・ホワイト(ドラマ「一流シェフのファミリーレストラン」)。そして監督・脚本を手掛けるのは、音楽家の内面的な葛藤を深く描いた名作『クレイジー・ハート』でアカデミー賞を受賞したスコット・クーパーだ。
この布陣により、本作は単なる音楽伝記映画の枠を超え、一人のアーティストが創造と自己の境界線で向き合った葛藤を、観客の心に深く問いかける体験としてスクリーンに刻み込む。
映画情報
| 作品名 | スプリングスティーン 孤独のハイウェイ |
| 原題 | Springsteen: Deliver Me from Nowhere |
| 監督 | スコット・クーパー |
| 出演 | ジェレミー・アレン・ホワイト、ジェレミー・ストロング、ポール・ウォルター・ハウザー 他 |
| 劇場公開日 | 2025年11月14日 |
| 製作 | 20世紀スタジオ 他 |
| 公式サイト | https://www.20thcenturystudios.jp/movies/springsteen |