Indiebase編集部です。 昨日公開した「ゲーム史を書き換えた映画10選」。執筆を終えた後、編集部内ではある種の「危機感」が漂っていました。
「あの10本で本当に全てを語ったと言えるのか?」 「AKIRAを、攻殻を、黒澤を抜きにして、今のゲームのDNAを語ることは不誠実ではないか?」
優れたゲームが映画からミームを受け継いでいるように、私たち編集部もまた、映画への愛を語り尽くすまで終われない。今回は「Part 2」として、前回のリストを補完し、ゲームの「システム」「ビジュアル」「構造」に決定的な革命をもたらした、もう10本の偉大なる映画を紹介します。
前回の記事はこちら: その映画がなければ、今のゲームは存在しなかった。「ゲーム史を書き換えた」偉大なる映画10選(Part 1) ※まだ読んでいない方は、ぜひこちらの10本からチェックしてみてください。
1. AKIRA (1988)
全クリエイターが「金田のスライド」の呪縛にかかっている
- 生み出したもの: サイバーパンクの美的革命(Cyberpunk 2077, アストラルチェイン, FF7)
- ここを見ろ: 大友克洋監督による、圧倒的な情報の密度で描かれたネオ東京。そして伝説の「金田のバイク」のスライド停車シーン。あのバイクの挙動、そしてテールランプが引く光の残像……。これらは『サイバーパンク2077』のフォトモードポーズや、『アストラルチェイン』の演出に至るまで、数え切れないほどのゲームで「クールなバイク」の絶対的な様式美として引用され続けている。
2. 燃えよドラゴン (1973)
格闘ゲームというジャンルに宿る「ブルース・リー」の魂
- 生み出したもの: 対戦格闘ゲーム(Street Fighter, Tekken)
- ここを見ろ: 「個性豊かな武術家が孤島のトーナメントに集結する」という設定。格闘ゲームのキャラクター選択画面のワクワク感は、すべてこの映画の構造がベースだ。ブルース・リーの咆哮、構え、そして武術をエンターテインメントとして「誇張」した演出がなければ、今の格ゲー文化は存在しなかった。
3. ヒート (1995)
銃撃戦の「音」と「緊張感」を決定づけたリアリティの極致
- 生み出したもの: 銀行強盗ミッション、銃撃戦のサウンド(Payday, GTA V, Battlefield)
- ここを見ろ: マイケル・マン監督がこだわった、市街地での銃撃音。音楽を消し、ビルに反響する乾いた銃声だけが響くあのリアリズムは、現代のFPS・TPS開発者が「バイブル」として必ず参照するシーンだ。『GTA V』の強盗ミッションの構成も、この映画への巨大なリスペクトから生まれている。
4. ロボコップ (1987)
我々の視界に情報を表示させた「HUD」の先駆者
- 生み出したもの: HUD(ヘッドアップディスプレイ)、UIデザイン
- ここを見ろ: ロボコップの視界に直接表示されるターゲット情報やスキャンデータ。今ではFPSで当たり前となった「視界(HUD)に情報を載せる」というビジュアル表現を一般化させた功績はあまりに大きい。私たちがゲーム画面で当たり前に見ている「残弾数」や「目的地の表示」のルーツはここにある。
5. GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊 (1995)
ステルスとハッキング、そして「義体」という快感
- 生み出したもの: ハイテク・ステルス、ハッキング表現(Metal Gear Solid, Deus Ex)
- ここを見ろ: 草薙素子がビルの屋上から落下しながら姿を消す「光学迷彩」。『メタルギアソリッド』のステルス迷彩はもちろん、サイバー空間へのダイブや、身体のパーツを換装する「義体」という概念は、SFゲームにおけるキャラクター強化システムの精神等支柱となっている。
6. 続・夕陽のガンマン (1966)
オープンワールド・ウエスタンの景観を作った「父」
- 生み出したもの: オープンワールド・ウエスタン(Red Dead Redemption)
- ここを見ろ: セルジオ・レオーネが描いた荒野の地平線と、三つ巴の決闘(メキシカン・スタンドオフ)。『RDR』シリーズの全景、あるいは対峙した時のカメラワークの全てが、この映画の様式美から生まれている。孤独なガンマンが旅をするという「遊び」の情緒は、ここが頂点だ。
7. デューン/砂の惑星 (1984)
この「映画のゲーム化」が、RTSというジャンルを生んだ
- 生み出したもの: RTS(リアルタイムストラテジー)という遊びそのもの
- ここを見ろ: 映画の評価以上に重要なのは、この映画をベースにした『Dune II』というゲームの存在だ。「資源を集め、基地を建て、軍勢を操る」というRTSの基本ルールはこの時、この砂の惑星で発明された。『StarCraft』も『Age of Empires』も、この映画がなければ存在しなかった。
8. 恋はデジャ・ブ (1993)
「死んで覚える」ループもののロジックはここにある
- 生み出したもの: ループ系ゲーム(Outer Wilds, Returnal, 12 Minutes)
- ここを見ろ: 同じ1日を何度も繰り返す中で、周囲のパターンを学習し、徐々に「完璧な行動」を取れるようになっていくプロセス。これは現代の「ループもの」ゲームのプレイ体験そのものだ。「失敗しても知識だけは持ち越せる」という快感の構造を証明した、ゲームデザインの裏・聖典。
9. ダークナイト (2008)
3Dアクションの戦闘を「重く、鋭く」塗り替えた
- 生み出したもの: フリーフロー・コンバット(Batman: Arkham series, Spider-Man)
- ここを見ろ: バットマンの「重厚だが流れるような格闘」。この質感をゲーム化しようとした『バットマン:アーカム・アサイラム』が、周囲の敵を次々と受け流しながら戦う戦闘システムを確立。それ以降の全3Dアクションゲームの戦闘基準を一変させた。
10. 七人の侍 (1954)
「役割」と「防衛」。チーム戦術の源流
- 生み出したもの: 戦略RPG、タワーディフェンス、協力プレイ(Ghost of Tsushima, L4D)
- ここを見ろ: 異なる能力を持つ7人が集まり、地図を使って戦略を練り、村(拠点)を守るためにウェーブ状に押し寄せる敵を迎え撃つ。この「守り」と「チーム編成」のロジックは、タワーディフェンスやCo-opゲームの面白さの根源に他ならない。黒澤明は1954年に、既に「協力マルチプレイ」の神髄を描いていた。
■ Indiebase編集部より
Part 1、Part 2合わせて計20本。 こうして振り返ると、私たちが愛するゲームの「遊び」の裏側には、常に映画監督たちの「狂気」や「妄想」が眠っていることが分かります。
私たちがコントローラーを握って感じるあの高揚感の正体を知りたいなら、ぜひこれらの映画をチェックしてみてください。そこには、ゲームをプレイしている時とはまた違う「原体験」の感動が待っているはずです。
(文:Indiebase編集部)
🌌 映画のような「原体験」を、インディーゲームで。
今回紹介した映画たちがジャンルを切り拓いたように、現代のインディーゲーム界でも、独創的なアイデアで私たちの常識を塗り替える傑作が次々と生まれています。
次の「一生モノ」に出会うために
Indiebase Select | 編集部厳選:インディーゲーム傑作選
「とにかく面白いインディーゲームが知りたい」——そんな時は、こちらの傑作選からあなたの次の一本を見つけてください。
▶ Indiebase Select を見る
