20世紀後半、美術界のあり方を根底から変えた思想がある。それが、ソル・ルウィット(Sol LeWitt, 1928-2007)の提唱した「アイデアこそが作品の価値である」というコンセプチュアル・アートの哲学だ。彼の日本国内公立美術館初となる個展「ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー」が、2025年12月25日(木)より東京都現代美術館(MOT)にて幕を開ける。

「コンセプチュアル・アート」の哲学:アイデアこそが作品である
ルウィットは、目に見える完成された作品そのものよりも、作品を生み出すアイデアやプロセスにこそ本質があると考え、芸術の枠組みを再定義した。彼の仕事は、現代アートやデジタルの領域にも通じる「芸術とは何でありうるか」という根源的な問いを、私たちに投げかけ続けている。
本展は、既存の枠組みや仕組みを解体し、別の構造への可能性を開こうとしてきたルウィットの鮮烈な思考の軌跡をたどる。

鑑賞者が立ち会う、アイデアの「実行」
ルウィットの代表作「ウォール・ドローイング」は、彼の文章や図面による指示(アイデア)をもとに、アーティスト本人以外の手によって壁に描かれるという、極めて挑発的な作品だ。アイデアが作品の物質的な側面を超越するという彼の哲学を、最も純粋な形で体現する。
本展では、6点のウォール・ドローイングを展示し、広々とした空間のなかでアーティストのアイデアが実行される瞬間の迫力を体感できる。
さらに、構造の連続的な変化を明らかにする立体作品や、自らのアイデアを広く共有するために制作されたアーティスト・ブックも多数展示される。これらは、ルウィットが何を考え、世界をどのように捉え直そうとしたのかを理解するための鍵となる。
展覧会基本情報
| 項目 | 詳細 |
| 展覧会名 | ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー |
| 会期 | 2025年12月25日(木)~ 2026年4月2日(木) |
| 会場 | 東京都現代美術館 企画展示室 1F |
| 休館日 | 月曜日、年末年始など |
| 観覧料(一般) | 1,600円(別途学生料金あり) |
| 主催 | 東京都現代美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団) |
| 協力 | The Estate of Sol LeWitt |
| 公式サイト | https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/LeWitt/ |