時代のプリズム：日本で生まれた美術表現 1989–2010。国立新美術館と香港M+が協働で検証する「グローバル化の最初の20年」

国立新美術館（東京・六本木）では、香港のグローバルミュージアムM+（エムプラス）との初の協働企画展「時代のプリズム：日本で生まれた美術表現 1989–2010」が現在開催中です。本展は、昭和から平成への移行、冷戦終結、グローバル化が進展した日本の激動の21年間を、国内外50組を超えるアーティストの実践を通して徹底的に再検証するものです。

日本をプラットフォームに、多角的な視点から美術を再検証

本展が焦点を当てる1989年から2010年という時期は、日本の文化と社会が大きな変革を迎えた、グローバル化の最初の20年にあたります。この時代、日本というプラットフォームからどのような美術表現が生まれ、そして発信されたのか。展覧会は、この根源的な問いに対し、M+が長年培ってきた日本美術への深い理解に基づき、国立新美術館との対話を通じて新たな視点を提示します。

この企画は、国籍や文化の違いを超えてつながる「相互につながり、国境のない世界観」の価値を肯定するという、現代において特に重要なメッセージを帯びています。

村上隆、奈良美智、ダムタイプら50組超が参画

出品作家には、会田誠、福田美蘭、森村泰昌、村上隆、奈良美智、大竹伸朗、やなぎみわ、ヤノベケンジなど、現代日本美術を牽引してきた重要な顔ぶれが並びます。さらに、マシュー・バーニー、クリスト、トーマス・シュトゥルートといった国際的な影響を与えたアーティストの作品も含まれており、この時代の美術表現が持つ、開かれた、多孔的な国際性を鮮やかに検証します。

東京と香港というアジアの2都市に根差す美術館の対話によって試みられた本展は、複雑に変動した時代に立ち現れた美術表現を多角的に捉え、鑑賞者に深い思索の機会を提供する。

開催概要