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孤独、脆さ、そして圧倒的な存在感。ロン・ミュエク展、2026年4月より森美術館で開催へ。ヒューマンスケールを超えた具象彫刻が問いかける「存在」の根源

現代美術の潮流の中で、革新的な技法と哲学的な思索をもって具象彫刻の可能性を押し広げてきた作家、ロン・ミュエク(Ron Mueck)の個展が、2026年4月29日(水・祝)より森美術館で開催されます。日本では2008年以来、18年ぶり2度目の大規模な個展となります。

知覚を揺さぶる「サイズ」と「リアリティ」への挑戦

ミュエクの彫刻作品の最大の特徴は、実際の人物よりもはるかに大きく、あるいは小さく造られる、その異様なスケール感にあります。これは私たちの知覚に対する先入観への挑戦であり、鑑賞者は作品を前にしたとき、自己の身体と、その「存在」の大きさを問い直さざるを得ません。

作品は、ファイバーグラスや合成ポリマーといった素材を用いながら、人間の皮膚の質感、血管、細かな産毛に至るまで、「実際に存在していそうである」というリアリティに肉迫します。しかし同時に、鑑賞者自身の解釈を促す曖昧さも残されており、神秘的でありながら圧倒的な存在感を放ちます。

孤独、脆さ、そして内面的な感情の具現化

彼の作品群は、綿密な人間観察に基づき、孤独、脆さや弱さ、不安、回復力といった人間の内面的な感情や体験を巧みに表現します。

本展では、巨大な頭蓋骨の群れで構成された大型作品《マス》(2016-2017年)や、初期の代表作《エンジェル》(1997年)など、主要作品から近作まで11点を展示し、作家の比類なき創造性と発展の軌跡を深く洞察します。このうち6点は日本初公開であり、特にYBA(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)の一員としてミュエクが注目を集めるきっかけとなった《エンジェル》の出展は貴重な機会です。

また、フランスの写真家・映画監督ゴーティエ・ドゥブロンドによる、ミュエクのスタジオと制作過程を記録した貴重な写真作品と映像作品も併せて公開され、ミュエクの驚異的な彫刻技術がいかにして生み出されるのかが明らかになるでしょう。


展覧会基本情報

会期2026年4月29日(水・祝)~9月23日(水・祝)
会場森美術館
主催森美術館、カルティエ現代美術財団
企画近藤健一(森美術館シニア・キュレーター)他
公式サイトhttps://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/ronmueck/
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